CO2ナルコーシスって何?羽ばたき振戦?

physical assessment

こんにちは!!今日は、CO₂ナルコーシスについて勉強していきます。COPDの患者様では注意しなければならないと言われていますが、何を気をつけなければいけないのか。どんな症状が起きるのか。すっと答えられるでしょうか?私は・・・・・無理です。では早速勉強していきましょう( ゚Д゚)

このブログでは、私が勉強してきたことや考え方、この治療ってどうなのかなとみんなが疑問に持っている事など(また趣味の筋トレとかも・・・)をなるべくわかり易く伝えていきたいと考えています。ぜひ読んでいってください。

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CO₂ナルコーシスって

呼吸の自動調節機構に異常が生じ、肺胞の換気が不十分となった場合に二酸化炭素(CO₂)が体内に蓄積され、意識障害などの中枢神経症状が現れる病態をいいます。

呼吸の自動調節機構って?

呼吸調節は、延髄を中心とする脳幹部の呼吸中枢で行われ、脊髄を介して横隔膜や肋間筋などの呼吸筋に情報が伝わり、呼吸運動を引き起こします。呼吸運動の結果としての動脈血二酸化炭素分圧(PaCO₂:P分圧、a動脈血、CO₂二酸化炭素)動脈血酸素分圧(PaO₂:P分圧 a動脈血 O₂酸素)pH(Potential Hydrogen)を感知する中枢と末梢の化学受容器(中枢:延髄腹側野 末梢:大動脈小体・頸動脈小体)と、

参照:kokyutyousetu.pdf (umin.ac.jp)

呼吸運動を感知する気道、肺、胸壁の機械受容器から情報を受け取り、その結果として呼吸中枢からの出力を呼吸筋に伝え、呼吸運動を引き起こします。さらに大脳皮質から呼吸中枢に対する随意調節も加わり、複雑な呼吸調節が行われています。

呼吸不全 respiratory failure

少し前にも話しましたが、おさらいです。詳しく知りたい方はこちら
呼吸機能障害のため動脈血ガス(特にPaO₂:動脈血酸素分圧とPaCO₂:動脈血二酸化炭素分圧)が異常値を示し、そのため正常な機能を営めない状態であり、室内気吸入時のPaO₂60mmHg以下となる呼吸器系の機能障害、またはそれに相当する状態と定義されています。
Ⅰ型呼吸不全PaCO₂45㎜Hg下回る場合
Ⅱ型呼吸不全PaCO₂45㎜Hg超える場合
慢性呼吸不全:呼吸不全状態が1か月以上持続した場合

ですので、Ⅱ型呼吸不全でCO₂ナルコーシスになりやすいとされています。これは、換気不全で起こると言われています。

換気不全とは

肺胞低換気とも言われ、高二酸化炭素血症をきたします。何らかの原因により個体に必要な換気、特にガス交換に直接関与する肺胞換気量が低下した場合、肺胞内および血液中のO₂は不足し、逆にCO₂は蓄積される状態です。これを肺胞低換気と呼び、低酸素血症および高CO₂血症を呈します。肺胞低換気は、肺胞気酸素分圧(PAO₂)の低下を招き、低酸素血症となるため、純粋に肺胞低換気ではA-aDO₂(ここをチェック)は開大しません。主な原因は、中枢神経障害(抗不安薬やモルヒネなどの麻薬性鎮痛薬による呼吸中枢の抑制)、神経筋疾患(ALS,筋ジストロフィー)、胸郭障害(慢性肺疾患、肥満、後側弯症など)COPDなどがあります。詳しく知りたい方は、ここもチェックしてください。(呼吸不全?肺不全じゃないの? | まなびPT (sinji0012312.com)

努力性肺活量(FVC:forced vital capacity):最大吸気から努力性最大呼気を行ったときの最大吸気位から最大呼気位までの量。
予測肺活量(PVC:predicted vital capacity ) :性別・年齢・身長から計算される標準的な肺活量。 
 Baldwinの式
  男性:VC(ml) = (27.63 – 0.112 * age ) * HT(cm)
  女性:VC(ml) = (21.78 – 0.101 * age ) * HT(cm)
 日本呼吸器学会(JRS)肺生理専門委員会の式(18歳以上)(2001)
  男:VC(l) = 0.045 x HT(cm) – 0.023 * age – 2.258
  女:VC(l) = 0.032 x HT(cm) – 0.018 * age – 1.178
%肺活量(%FVC):予測肺活量に対する努力性肺活量の割合(80%以上が正常)
1秒量(FEV1.0):1秒間に呼出可能な量。
1秒率(FEV1.0/FVC):1秒量を努力性肺活量で除したもの。(70%以上が正常)
%1秒量(%FEV1.0):1秒量を予測1秒量で除した値。

CO₂ナルコーシスの症状

CO₂ナルコーシスが起こると、初期には呼吸促迫頻脈発汗頭痛などの症状がみられ、進行すると羽ばたき振戦意識レベルの低下が起こり、傾眠から昏睡に至ります。意識障害高度の呼吸性アシドーシス自発呼吸の減弱の3主症状があります。

羽ばたき振戦(asterixis)

羽ばたき振戦とは、患者の両上肢をまっすぐと伸ばしてもらい、手関節を背屈(手の甲方向に曲げる)させた状態で保持するように指示すると筋緊張の消失と手関節の緊張による背屈位が交互に繰り返され、両手をパタパタと羽ばたかせるようにみえる徴候。固定姿勢を保持できないことから固定姿勢保持困難とも言われています。

引用:Asterixis | definition of asterixis by Medical dictionary (thefreedictionary.com)
www.youtube.com
シンディ
シンディ

ちなみに

肝性脳症(急性および慢性肝不全症例にみられる 精神・神経症状)という病気でも、羽ばたき振戦が見られます。昏睡度ⅡーⅢのときにみられます。昏睡度が軽度の時や重度の時は出現しない。

参考:日本消化器病学会雑誌第104巻第3号 (jst.go.jp)

呼吸性アシドーシス

アシドーシスとは、血液の酸塩基平衡を酸性に傾けようとする病態であり、呼吸性アシドーシスとは、血液の酸塩基平衡が酸性に傾いており、それが呼吸の障害によって二酸化炭素(CO2)が蓄積することで引き起こされている状態を指します。一般的には息切れ、呼吸困難感、頭痛、めまい、不穏やせん妄、意識障害、心拍数の増加などが挙げられます。

CO₂ナルコーシスなぜ起こる

Ⅱ型呼吸不全の患者さんに酸素療法を行う際に注意すべき合併症です。健常者ではPaCO2の変動が呼吸中枢へ優位に伝達されますが、慢性的な高二酸化炭素血症があると、呼吸中枢(延髄の化学受容体)はPaCO2の上昇に反応しにくくなるため、主にPaO2の低下を感知して呼吸を促進させます。このような状態で高濃度の酸素を投与し、PaO2が一定以上に上昇すると、呼吸中枢は酸素が足りていると判断し、呼吸を抑制もしくは停止してしまいます。その結果、肺胞低換気となりCO2がさらに蓄積し、CO2ナルコーシスになってしまいます。

CO2ナルコーシスを防ぐために

経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2で酸素化の評価を行い、吸入酸素濃度の設定・管理を行うことが大切です。GOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)のガイドラインでは、COPDの急性増悪時の酸素療法におけるターゲットSpO288~92%とすることを推奨しています。
CO2ナルコーシスのリスクが高い基礎疾患がある場合は、低濃度から酸素投与を開始してSpO2で酸素化の評価を行い、吸入酸素濃度を設定・管理する。

CO2ナルコーシスの兆候を見逃さないよう患者さんの状態をよく観察し、頻回の動脈血ガス分析を実施してアシドーシスの有無を確認することも重要です。CO2ナルコーシスに陥ってしまい、呼吸抑制や意識障害が現れた場合、非侵襲的陽圧換気(NPPV)や挿管下での人工呼吸管理が必要になります。

引用:X (twitter.com)

NPPVのいい説明動画ありましたので、参照してください。こちらもチェック!!

シンディ
シンディ

Take home messagessage

・Ⅱ型呼吸不全の換気障害(肺胞低換気)に対し高濃度酸素投与はしてはいけない。人工呼吸器で管理することが多い

SpO₂は88-92%を目安に呼吸器の管理を行う。すぐに高濃度酸素を送らない

羽ばたき振戦は、昏睡度が軽度の時や重度の時は出現しない

CO₂ナルコーシスの症状:呼吸促迫頻脈発汗頭痛などの症状がみられ、進行すると羽ばたき振戦意識レベルの低下が起こる

3主症状

 意識障害

 高度の呼吸性アシドーシス

 自発呼吸の減弱

今日はここまでです。最後まで読んで頂きありがとうございます。また遊びに来てくださいね!!

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