今日は、呼吸器疾患患者様に対する問診について話していくよ。呼吸の患者さんに何を聞けばいいのか、そこからどんなことが考えられるのか。などなど勉強したことを話していくよ。問診はフィジカルアセスメントの一つです。では早速行きましょい!
このブログでは、私が勉強してきたことや考え方、この治療ってどうなのかなとみんなが疑問に持っている事など(また趣味の筋トレとかも・・・)をなるべくわかり易く伝えていきたいと考えています。ぜひ読んでいってください。
フィジカルアセスメントとは
フィジカルアセスメント(Physical 身体の assessment評価)とは、問診とフィジカルイグザミネーション(examination調査:視診、触診、聴診、打診)を用いて、身体的健康上の問題を明らかにするために、全身の状態を系統的に査定することです。
フィジカルアセスメントの基本手順
フィジカルアセスメントは、患者の心身の侵襲を少なくするために、以下5つの手順でおこないます。
① 問診:患者の訴えを聞きます
② 視診:患者の全体を観察し、身体の機能も異常がないか確認します
③ 触診:患者に触れて皮膚などの状態や痛みの部分を正確に知ります
④ 打診:患者の身体の表面を叩いたり振動から内部の状態を知ります
⑤ 聴診:聴診器を使って呼吸音や心音、血管音、腸音などに異常がないかを聴きます
問診の目的や症状
1.対象者の背景を把握するための問診
受診・入院に至った経緯を聞く。(記憶や病識を知ることができます)
疾患や障害の由来は何であったか聞く。(病気の理解がされているかわかります。これにより、自己管理能力が上がります。)
現在、過去の生活状況など
2.対象者の症状の把握するための問診
呼吸困難の有無 (いつ、どんな時に、どのように起きるのか)
例)階段を上っているときに、息が続かなくなってハアハアする。←労作時の呼吸困難で、頻呼吸となる。COPDかな?って推測する。
咳嗽の性状・頻度
性状
乾性or 湿性。例)寝ころんだ時に空咳で痰は出ない。←胸水かな?って推測する。
乾性 | 気管支ぜんそく、間質性肺炎、肺結核、気胸、肺がん、喫煙者、心因性 (緊張などによる咳) |
湿性 | 風邪、インフルエンザ、気管支炎、気管支拡張症、肺炎、肺水腫、副鼻腔炎(ちくのう) |
頻度
急性咳嗽:発症後3週間以内の咳のことです。原因は、鼻~のどの症状を主体としたウイルス感染によるかぜ症候群の頻度が最も高く、2日以上の発熱(37℃以上)がない場合、大抵は治療しなくても自然に治癒します。咳以外に以下のような症状を伴うときには、風邪ではない可能性があり、注意が必要です。
①熱が続く場合
特に38℃以上の高熱の場合、鼻づまり・黄色の鼻汁の症状があれば副鼻腔炎、強いのどの痛みがあれば咽頭炎・扁桃炎、汚い色の痰を伴えば肺炎の可能性があり、細菌に対する抗生物質による治療が行われます。
寒気・頭痛・吐き気・ふしぶしの痛み、といった風邪の症状が通常よりも強い場合、インフルエンザウイルス感染が疑われます。
②呼吸困難感を伴う場合
気管支喘息発作、自然気胸(肺に穴があいて空気が胸腔内に漏れ肺が縮むこと)、心不全(不整脈、狭心症、心筋症)、何らかの原因の胸水(胸に水がたまること 細菌による胸膜炎・膿胸、結核、肺癌、心不全・腎不全・肝不全)、肺塞栓(足の静脈で血栓ができ、肺の血管に血栓がつまる)などが原因であることが考えられる。
遷延性咳嗽・慢性咳嗽
3週間以上続く咳のことです。慢性咳嗽の原因として、結核です。結核は過去の病気ではなく、現在も老若男女を問わず、一定の割合で新規の患者さんがいます。人口密度の高い東京は日本で最も罹患の多い都市。人から人へ感染し、入院、隔離が必要となる。
気管支喘息・咳喘息が約半数を占めます。タバコを1日20本、20年以上吸っている方は、COPD(慢性閉塞性肺疾患、以前は肺気腫と呼ばれていました)という肺が壊れてしまう病気のために、咳、痰、息切れなどの症状が続いている可能性がある。
その他、副鼻腔気管支症候群(副鼻腔炎と肺の気管支拡張症)、胃食道逆流症など、さまざまな原因で咳が続きます。長引く咳の場合は、風邪だと思い込まずに、呼吸器内科を受診してください。
喀痰の量・種類
量は多いのか、少ないのか。
痰の種類
漿液性(比較的さらさらした透明な分泌液)
粘液性
膿性(炎症部が化膿(かのう)して生じる黄白色・黄緑色の不透明な粘。主に白血球と血清からなり、組織の崩壊物、死んだ細菌などが含まれる。)
血性
痰の色などの特徴 | 原因 | 主な病気 |
痰黄色 | 細菌性の感染症が多い | 急性咽頭炎、急性気管支炎など |
緑色 | 緑膿菌が関係している | 汎さい気管細気管支炎、慢性気管支炎など |
錆びた色 | 肺炎球菌と関係している | 肺炎球菌性肺炎、肺膿瘍など |
白色 | 粘度が高い、非細菌性(ウィルス)の感染が多い | アレルギー性気管支炎、COPDなど |
ピンク、泡沫状 | 血液と空気が混ざる | 肺水腫など |
白色、サラサラ (漿液性) | 粘度が低くサラサラした性状 | 気管支喘息,気管支拡張症,肺水腫、肺胞上皮癌、 |
暗赤色 | 下気道からの出血が多い | 肺がん、気管支拡張症、肺結核症など |
赤色 | 上気道からの出血が多い | 肺出血など |
胸痛(呼吸に関して)はあるか
- 胸膜炎・膿胸(膜に炎症が起こり、胸の中に膿がたまる)
細菌などの感染症が原因で発症し、発熱や悪寒を伴います。痛みは鈍い痛みで、呼吸によって症状の変動がある。ただし、悪性疾患に伴う癌性胸膜炎の場合は発熱などを伴
わないことが多いです。 - 気胸(肺がパンクする)
胸痛の原因として比較的頻度が高く、やせ型の若い男性によく認めます。(嵐の相葉雅紀君が有名です)また、肺気腫やブラ(気腫性のう胞)などの呼吸器の病気でも診られる。一般的には、突然の胸痛と息苦しさを伴い、痛みは深呼吸で増強し、継続します。 - 呼吸以外では、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、大動脈解離(血管が裂ける病気)、肋骨骨折、肋間神経痛・帯状疱疹、悪性腫瘍、逆流性食道炎、急性膵炎や胆のう疾患、心臓神経症などがあります。
喘鳴はあるか
喘鳴とは呼吸をするときに、ヒューヒュー、ゼーゼーなどと音がすること。この音は聴診器を使用しなくても聞こえます。基本的には空気の通り道である気道が狭くなったときに出る音です。
息を吸うときに音がする場合と息を吐くときに音がする場合があります。息を吸うときには口に近いほうが狭くなり、息を吐くときには肺の中の気管支が狭くなるので、どのタイミングで喘鳴が聞こえるかによって、ある程度狭くなっている部位が推測できます。
息を吸うときに音がする場合は鼻からのどにかけて原因があることが多いです。
アデノイド、扁桃肥大、舌根沈下、咽喉頭腫瘍、喉頭炎、喉頭クループ、声帯麻痺、喉頭外傷、異物。
息を吐くときに聞こえる場合は気管支や肺が原因であることが多いです。
気管支ぜんそく、気管支炎、肺がん、気管支拡張症、うっ血性心不全、塵肺(じんぱい)
肺がんのように治療をしなければ改善しない喘鳴もあれば、痰が気管支にたまっているときだけ聴取される一時的な喘鳴もあります。
気道が狭くなる原因としては癌のように病気が気道内にせり出してくる場合や周りから気道が押されて細くなる場合、アレルギーや炎症で気道の壁がむくむ場合や痰や異物が気道内にある場合などがあります。喘鳴だけでもいろいろな原因がありますね。奥深い。
既往歴
これまでに他の呼吸器疾患や心疾患、骨関節疾患、神経筋疾患などに罹患し、治療したことがあるか?
呼吸器疾患:気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺がん、呼吸器感染症が4大疾患です。さらに、間質性肺疾患、膠原病に伴う肺疾患、薬剤性肺障害、職業性肺疾患(珪肺、アスベスト肺)、急性呼吸窮(促)迫症候群(ARDS)、縦隔疾患(左右の肺に挟まれた領域を縦隔と呼び、心臓・大血管・気管・食道・胸腺・リンパ節の疾患)、胸膜の疾患(胸膜炎、胸膜悪性中皮腫)、肺循環障害(肺高血圧症、肺塞栓症など)、などがあります。
骨関節疾患:漏斗胸(前胸部が陥凹する(へこんでいる)病気)、鳩胸(前胸壁が前方に突出した胸壁の先天異常)、側弯症(背骨は本来、正面から見て真っ直ぐなのが正常。これが側方(左右)に曲がってしまった状態の事)、亀背・円背・後湾症【本来は腹部のほうに凸である脊柱(背骨)が、後方に凸に変形してしまう病気の総称】
神経筋疾患:下記を見てください。
私も、多発性硬化症やギランバレー、重症筋無力症の患者様に関わったことがあります。その時は、呼吸についての勉強が少なかった。気づくだけでも一歩かな。勉強していきましょう。
治療内容
投薬を中心とした、現在の治療内容。
気管支拡張薬や抗炎症薬の吸入、去痰剤、酸素療法、運動療法などを聞きます。
個人歴
家族歴は遺伝性疾患であるか、家族性の要因であるかを把握する。
生活環境・職業歴
粉塵、刺激ガスの吸入するような職業であったか、家族構成、家屋状況(立地条件)、小鳥の飼育歴(オウム病はオウム病クラミジアという細菌を病原体とする)、旅行歴(風邪を引いたりすると呼吸器が増悪するあ9などを聴取
喫煙指数
喫煙の有無
Blinkman指数:1日の喫煙本数×喫煙年齢=400以上で肺がんのリスクが上がり、700以上ではCOPDのみならず、咽頭がんや肺がんのリスクが数十倍上がるという報告がある。ちなみに私は、10~20本×9年=90~180です。何とか大丈夫かな心配です。
ちなみに、1本吸うことで5分30秒寿命が縮むと言われています。私の場合は10本/日×365日×9年×330秒(5分30秒)÷60(秒)÷60(分)÷24時間で125~250日4~8か月間寿命が縮んでいます。
全身状態
食欲はどうか、体重の変化(痩せてないかな)、発熱や倦怠感はあるか
ちなみに1回の咳で2kcal消費すると言われています。1分間に2回、ゴホンゴホン!とせき込むペースが1時間続くと、240kcal。4時間続けば1000kcal近いカロリー消費となります。呼吸器疾患の患者様が、食事を取らずにいるとどんどん痩せてしまいます。健常者50㎏の方の安静時必要エネルギーを1日1,500Calとして、COPDの患者さんではその1.5倍、2,200Calが目標となるそうです。これは青年期の食事量に匹敵する量です。1日3食以外にも2回間食を食べて、果物やヨーグルト、チーズ、ゆで卵などを手の届きやすい所に置いておくよう指導するといいですね。高エネルギー、高たんぱく質、高ビタミンの食事を食べるように意識させましょう。
会話の様子
問診しながら会話が続くかどうか、呼吸困難があるか、精神状態はどうか
患者の意欲
呼吸理学療法に対する意欲の有無。これは、治療効果に影響するため、意欲がない場合はその原因は何か会話していく必要があります。
例)苦しくなることが嫌←どんな時に「運動するとき」←まずは呼吸筋のマサージやストレッチ、安楽体位(苦しい時に一番呼吸が楽になる体位)から介入し運動療法を増やしていこうってなります。
はい、問診はここまでです。問診もフィジカルアセスメントの一つなんですね。勉強になります。
いよいよ次回からはフィジカルアセスメントを一項目づつ話していきたいと思います。
また、読んでくださいね。お疲れさまでした。
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