今日も読みに来てくれてありがとうございます。ここのところ関節運動学の特にSJFの本をもとに話をしています。このまま来たら四肢の関節についてすべて書いていこうと考えています。今回は、手関節です。「父さん月収大小有効!!」手根骨を覚える言葉です。試験前に覚えた記憶がよみがえってきました。だから!?って言わないでくださいね。では早速勉強をしていきましょう。今日は長いですよ( ゚Д゚)
このブログでは、私が勉強してきたことや考え方、この治療ってどうなのかなとみんなが疑問に持っている事など(また趣味の筋トレとかも・・・)をなるべくわかり易く伝えていきたいと考えています。ぜひ読んでいってください。
まずこのブログを見る前に、「関節を動かすときの基礎!!関節運動学!SJFやAKA!!」を見てね。基礎から学ぶと余計わかるよ。では続きをどうぞ(#^.^#)
手部
手は上肢の最遠位に位置する効果器として働いています。8つの手根骨(豆状骨・三角骨・月状骨・舟状骨・大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鉤骨)と5本の中手骨、14個の指骨によって構成されています。それぞれの骨は滑膜関節を構成して連結しています。
滑膜関節
2つの結合した骨の間に関節包があるのが特徴です。 滑膜関節の骨表面は、単に関節軟骨の被覆(ものに覆いかぶさるもの)によって保護されているだけです。 滑膜関節は、多くは、損傷を防ぐために動作を制限している周囲の靱帯によって支えられ強化されています。 滑膜関節には、6つの種類があります。
手部の関節は、抹消になるほど単純な構造になっています。その組み合わせで細かい動きができるようになっています。指骨の運動で特に母指の対立運動が重要です。母指が四指と向き合うことで力を集中し、細かな作業ができるのです。
下橈尺関節(Distal radioulnar joint)
橈骨の遠位端である尺骨切痕(凹面)と尺骨の遠位端である関節環状面(凸面)によってなる関節です。形状は車軸関節です。軟部組織では関節包はゆるく、下橈尺関節下縁に関節円板がありそこに三角靱帯が付着しています。その外縁を掌側・背側関節包靱帯が補強する形でついています。三角線維軟骨複合体(Triangular Fibrocartilage Complex; TFCC)は、手関節尺側に存在する関節円板や靱帯、半月板類似体を総称しています。三角靱帯は尺骨と接する部分は陥凹し、尺骨頭と適合しやすくなっています。橈骨の遠位端にある手根幹関節面は前額面で25度尺骨側に傾斜し、矢状面においては、15度掌側に傾いています。
橈骨手根関節(Tadiocarpal joint)
橈骨遠位端の手根関節面と関節円板、舟状骨・月状骨・三角骨の近位関節面からなる顆状関節です。手根骨側の関節面は前額・矢状両面で凸面を成しており、橈骨側は同様に凹面を形成しています。靱帯は、橈骨と手根骨を連結している靱帯(背側と掌側橈骨手根靱帯、外側手根側副靱帯)尺骨と手根骨を連携している靱帯(内側手根側副靱帯、掌側者尺骨手根靱帯)
手根骨
手根骨は豆状骨・三角骨・月状骨・舟状骨・大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鉤骨 と8つの短骨によって構成されています。関節包は共通しており、手根骨間は、人体によって連結されています。手部の靱帯は、手根骨同士を連結している靱帯(背側手根間靱帯・掌側手根間靱帯)手根骨と中手骨を連結している靱帯(背側手根中手靱帯、掌側手根中手靱帯)に大別できる。
豆状骨(pisiform)
1つの関節を持ち、三角骨につく。
三角骨(triquetral)
近位骨列で月状骨の尺側にある三角形の骨です。月状骨・有鉤骨・豆状骨と関節を形成しています。
月状骨(lunae)
近位骨列で舟状骨の尺側に位置する半月状の骨です。近位面は凸面の関節面を持ち橈骨に接しています。遠位面は凹面で舟状骨・有頭骨と接し、尺側面で三角骨とそれぞれ関節を成しています。
舟状骨(scaphoid)
近位骨列に位置する楕円型の骨です。大きく2つの凸面を成す関節面があり、遠位面では大菱形骨、小菱形骨と接し、近位面では橈骨と接しています。有頭骨、月状骨は遠位のない側面と関節を構成しています。
大菱形骨(trapezium)
遠位手根骨裂の最撓側に位置し、第1中手骨と関節を形成する。舟状骨・小菱形骨と接する。掌側面には鉤状の突起があり、屈筋支帯(横手根靱帯)が付着します。
小菱形骨(trapezoid)
有頭骨の撓側に位置します。第2中手骨、大菱形骨、舟状骨、有頭骨と接しています。
有頭骨(capitate)
遠位手根骨列の中央に位置し、手根骨の中で一番大きい。4つの関節面を持ち第3中手骨、小菱形骨、舟状骨、月状骨、有鉤骨と接しています。
有鉤骨(hamate)
有頭骨の尺側に位置し、楔状(頭部が大きく、末端が細くとがっている形。くさびの形をしていること。)となっています。掌側面に鉤状(鉤のように曲がった形)の突起があり、ここには屈筋支帯(横手根靱帯)が付着します。第4・5中手骨、有頭骨、月状骨、三角骨と接しています。
手根中手関節(Carpometacarpal joint:CM)
母指の手根中手関節は第1中手骨と大菱形骨からなる関節で鞍関節の形状をしています。第2手根中手関節は第2中手骨底と大菱形骨・小菱形骨・有頭骨の遠位面からなります。第3手根中手関節は第3中手骨底と有頭骨の遠位面からなります。第2・3手根中手関節はほとんど可動性がない。第4手根中手関節は第4中手骨底と有頭骨・有鉤骨からなります。第5手根中手関節は第5中手骨底と有鉤骨の遠位面からなる。第4・5手根中手関節は有頭骨、有鉤骨側が凹で中手骨側は凸の形状をしている。
中手指節関節(Metacarpophalangeal joint:MP)
中手指節関節は第1指から第5指において中手骨と基節骨で構成されています。形態は中手骨頭が凸、基節骨底が凹の楕円関節です。中手骨頭の関節面は掌側に広く背側は狭い、側方は内外側の側副靱帯、深横中手靱帯が付着し、掌側は掌側靱帯(掌側板)によって補強されています。背側には靱帯は存在しません。
指節間関節(Interphalangeal joint:IP)
第2指~第5指ではm基節骨と中節骨の間に近位指節間関節(procimal interphalangeal joint:PIP)と中節骨と末節骨の間にあります。中節骨と末節骨の間にある関節を遠位指節間関節( distal interphalangeal joint:DIP)があります。近位指節間関節の関節面は基節骨頭に2つの課があり、中節骨底側にそれを受ける凹みがあります。遠位指節間関節においても同様の構造が存在するが近位のそれほど明確ではない。そのため、側方への動揺は遠位指節間関節のほうが大きい。運動自由度1度の蝶番関節です。なお母指は中節骨は欠損しているため基節骨と末節骨で指節間関節を構成する。
触診
目的位置を確認するには、触るだけでなく関節を動かすことによって目的部位を確定していく必要があります。また、上記の図のように骨標本を知識に入れておくと触知しやすいです。あまり気を張らずでは、触診をやっていきましょう。
橈骨茎状突起
橈骨の遠位端で触れることができます。橈骨外側の骨体から遠位方向に触知し手関節掌背屈した際に動かないところです。
尺骨茎状突起
尺 骨陵を遠位にたどるとその最遠部に触れることができます。前腕回内位にすると尺骨茎状突起が掌側に位置するため触診することは難しくなります。回内位の際膨隆しているのは尺骨頭です。今まで触っていたところは茎状突起じゃないかも!!
橈骨背側結節(Lister’s tubercle:リスター結節)
橈骨茎状突起から背側尺側に移動すると橈骨背側結節に触れます。つまりリスター結節です。また、母指を力強く伸展すると手背撓側の側面に目立つ陥没が診られます。これは長母指伸筋と短母指伸筋・長母指外転筋の腱によるもので解剖学的タバコつぼ(anatomical snuff-box)と呼ばれています。この陥没の下に舟状骨が触れられます。
1 | 正中神経 | 9 | 橈骨神経(浅枝) | 17 | 三角骨 |
2 | 長母指屈筋の腱 | 10 | 舟状骨 | 18 | 尺側手根伸筋の腱 |
3 | 橈側手根屈筋の腱 | 11 | 長橈側手根伸筋の腱 | 19 | 深枝屈筋の腱 |
4 | 母指球筋 | 12 | 短橈側手根伸筋の腱 | 20 | 小指球筋 |
5 | 大菱形骨 | 13 | 有頭骨 | 21 | 豆状骨 |
6 | 長母指外転筋の腱 | 14 | (総)指伸筋・示指伸筋の腱 | 22 | 尺骨神経 |
7 | 短母指伸筋の腱 | 15 | 有鈎骨 | 23 | 浅指屈筋の腱 |
8 | 長母指伸筋の腱 | 16 | 小指伸筋の腱 |
指節間関節
指節間関節は表面上背側面の膨隆部と掌側のひだの位置が一致しているため、関節の位置は分かりやすいと思います。中手指節関節は背側は膨隆している位置がわかりやすいが、掌側面は各指と手掌の境界にある横ひだ(近位指皮線)の部分に関節があると錯覚されます。実際には横ひだよりも近位にある横ひだ(遠位手掌皮線)が中手指節関節の位置です。
手根骨
3つの突起と結節をもとにラインを仮定し探してきます。
中央ライン
①橈骨背側結節(リスター結節)→第3中手骨→有頭骨→月状骨
②有頭骨→小菱形骨
③有頭骨→有鉤骨→舟状骨
有頭骨は掌屈しているときはよく触れますが背屈すると凹んでしまうため触りづらくなります。
橈側ライン
①橈骨茎状突起→舟状骨→大菱形骨→第1中手骨
尺骨ライン
①尺骨茎状突起→三角骨(豆状骨)→有鉤骨→第4・5中手骨
豆状骨は掌側、三角骨の上に位置する。
運動学(Kinematics)
下橈尺関節(Distal radioulnar joint)
骨運動としては、回内、回外。関節内運動は滑り(slide)。最大ゆるみの位置(LPP)は半回内位、しまりの位置(CPP)は回外位。
前腕の回内外運動は、上・下の橈尺関節が同時に連動して起こるためどちらの関節も正常に機能しないければ運動は起こらない。下橈尺関節では、尺骨の関節環状面に沿って橈骨の尺骨切痕が回内時には掌側へ、回外時には背側へ滑る。上橈尺関節では橈骨頭が凸面を持ち、下橈尺関節では尺骨が凸面を有します。なので運動軸は橈骨頭と尺骨(茎状突起)を結ぶ線となります。
手部:背屈
橈骨手根関節のLPPは半掌屈位、CPPは背屈位、手部掌側の靱帯は背側に比べて強く肥厚しています。手根間関節の関節内運動は、手部の背屈に伴って舟状骨・月状骨・三角骨の関節面は凸の法則に従い、掌側に滑る。手根中央関節では有頭骨の近位関節面が凸の形状をしており、背屈をする際は背側に滑る。しかし、大・小菱形骨の近位関節面は凹の形状をしているため、背屈をする際は背側に滑る。有鉤骨は月状骨に対して凸の法則に従い関節面は掌側に滑るが、三角骨に対しては凹の法則で背側に滑る。
橈骨手根関節の骨運動と関節内運動
骨運動 | 関節内運動(凸の法則) |
背屈 | 掌側への滑り |
掌屈 | 背側への滑り |
撓屈 | 尺側への滑り |
尺骨 | 撓側への滑り |
手部:掌屈
手部背側の靱帯は掌側に比べ薄く脆弱である。橈骨手根関節の関節内運動は掌屈の際、舟状骨・月状骨・三角骨の関節面は凸の法則に従い関節面は背側に滑る。また、大・小菱形骨,有鉤骨の近位関節面は凹の法則に従い掌側へ滑る。掌背屈の時最も大きな可動性を持つのは有頭骨です。月状骨は掌背屈ともにおよそ20度の可動性があります。舟状骨は、掌屈位では骨長軸がほぼ90度になるほどの可動域があります。大菱形骨は掌背屈あわせて50度でそのほとんどが背屈への動きであります。
手部:撓屈
橈尺屈の運動では手根間の靱帯が運動を制限し、また骨運動を導いています。撓屈では、舟状骨・月状骨・三角骨の関節面は尺側に滑る。有頭骨は凸の法則で関節面は尺側に滑る。大・小菱形骨は凹の法則で舟状骨との関節面で若干撓側へ滑る。有鉤骨は月状骨との接触面が小さいため有頭骨の動きに従い橈側に動きます。三角骨は月状骨に押し上げられるように尺側に滑る。
手部:尺屈
尺屈では 舟状骨・月状骨・三角骨の関節面は橈側に滑る。有頭骨・有鉤骨も同様に橈側に滑る。大・小菱形骨は舟状骨との関節面で尺側へ滑る。
手根中手関節
母指の手根中手関節
骨運動:屈曲・伸展・外転・内転
関節内運動:滑り(slide)
LPP:半屈曲位・尺側変位 CPP:対立位
大菱形骨の掌背側径が関節面は凹面、橈尺側径は凸面になっており、第1中手骨底の関節面はこれに適合するようにできている。鞍関節です。
第2・3手根中手関節は中手骨底同士の結合があり、ほとんど動きがない。
第4・5手根中手関節は中手骨底が凸で有鉤骨は凸の関節面を持ち第4手根中手関節10度、第5手根中手関節で20~25度の屈曲が可能。
実習生の時、CVAの片麻痺患者、B.R.SstageⅢの手についてレポートを出されたことがあった。その時母指のCMはどんな動きをしている?と質問されすぐに答えられなかったのを思い出します。答え)掌側外転・尺側内転(屈曲・内転)です。片麻痺患者様(StageⅢ)の手を開くときは、強引に指を伸展させるのではなく、上肢の伸展や Tenodesis action(腱固定作用)を使うこと 、母指CM関節の動きとは逆方向に持っていくことを行い、徐々に四指を伸展させることで手を開きます。
中手指節間関節
骨運動:屈曲・伸展・外転・内転
関節内運動:滑り(slide)
LPP:半屈曲位・尺側位 CPP:最大屈曲位
中手指節関節では中手骨頭が凸面、基節骨底が凹面を持つ、骨運動は屈曲・伸展・内転・外転が可能で他動運動的に回旋(spin)も可能です。楕円関節(顆状関節)です。
指節間関節
骨運動:屈曲・伸展
関節内運動:滑り(slide)
LPP:半屈曲位 CPP:伸展位
近位指節間関節では、基節骨頭が凸面で中節骨底が凹面の関節面を持つ、関節は蝶番関節で1軸性のため骨運動は屈曲・伸展のみです。
今回は結構長かったですね。
関節は奥が深いですね。股関節や膝なども今後書いていきたいと思います。楽しみにしていてくださいね。ではまた、最後まで読んでくれてありがとうございます。
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