ちょっと前に循環器の運動療法について勉強会に行ってきました。改めて知ることや解っていなかったことなどが多かったので・・・・勉強しましょう。今日は「ギャロップ」について、一緒に勉強して言いたいと思います。では早速行きましょう!!
このブログでは、私が勉強してきたことや考え方、この治療ってどうなのかなとみんなが疑問に持っている事など(また趣味の筋トレとかも・・・)をなるべくわかり易く伝えていきたいと考えています。ぜひ読んでいってください。
心音
心音は弁の開閉によって生じる一過性の短い音で、収縮期心音と拡張期心音に分けられています。
収縮期心音
収縮期心音としては以下のものがある:
- I音(S1)
- クリック
I音およびII音(S2,拡張期心音)は心周期の正常な成分であり、よく知られた「ド クン」という音に相当します。
Ⅰ音
I音は収縮期の開始直後に発生し、主に僧帽弁閉鎖によるが、三尖弁閉鎖の成分を含んでいることもあります。
僧帽弁狭窄ではI音が大きくなります。弁尖の硬化や硬直による僧帽弁逆流では減弱または聴取不能となる場合があるが、僧帽弁装置の粘液腫様変性(myxomatous degeneration:弁の組織がもろくなるせいで過剰に伸びてしまう)や心室心筋の異常(例,乳頭筋機能不全、心室拡大)による僧帽弁の逆流では、しばしば明瞭に聴取されます。第1度房室ブロック(心房から心室へのつながりが遅くなりますが、通常症状はありません)では、房室弁尖(僧帽弁および三尖弁)が心室収縮に先立ってほぼ閉鎖位置に移動するため、I音は弱いか聴取されないことが多い。
房室ブロックって
房室ブロックは心房と心室の間の刺激のつながりが悪くなり、伝導遅延をきたす病気です。つながりの低下の程度により1度から3度に分けられます。
第1度房室ブロック:心房から心室へのつながりが遅くなりますが、通常、症状はありません。
第2度房室ブロック:時々心室に伝導が伝わらなくなります。第2度房室ブロックでは、脈が飛ぶなどを自覚する人がいますが、無症状のケースもあります。
第3度房室ブロック:心房と心室間の伝導がさらに悪くなり、心房と心室がそれぞれ勝手に(ばらばらに)収縮するようになった状態。完全房室ブロックとも呼ばれ、通常は徐脈(心拍数低下)を生じるようになるため、脳血流量が低下し、めまい、ふらつき、時には意識消失発作などをきたします。息切れ、疲労感などの心不全の症状を契機に診断されることもあります。心筋梗塞や心筋症、心筋炎の合併症として生じることもありますが、明らかな原因が不明なことが多いとされています。
クリック(click)
クリックは収縮期にのみ生じる音で、より高調(パチン)で持続時間が短いことから,I音およびII音と区別できます。収縮期内でクリックが生じる時相は、血行動態の変化に応じて異なってきます。クリックは1つのこともあれば、複数のこともある。
・先天性の大動脈弁狭窄(AS:aortic stenosis)または肺動脈弁狭窄(PS:pulmonary stenosis)で聴かれるクリックは、異常な心室壁張力により生じると考えられています。このクリックは、収縮早期(I音に非常に近い時相)に発生し、血行動態の変化から影響を受けなません。同様のクリックが重度の肺高血圧症でも生じることがあります。(タタッタ)
狭窄( stenosis):血管やその他の管状の器官や構造物(孔や管など)が異常に狭くなることです。また、stricture(urethral stricture;尿道狭窄のように)と呼ばれることもある
・僧帽弁逸脱(MVP:mitral valve prolapse)または三尖弁逸脱(TVP:tricuspid valve prolapse)で聴かれるクリックは、典型的には収縮中期から後期に発生し、余剰に伸長した腱索または弁尖にかかる異常な張力によってもたらされると考えられています。(タッタタ)
僧帽弁逸脱(MVP ):弁尖や支持組織が形態的に変化すると前・後尖の閉鎖がぴったりと合わなくなり、ズレが生じ弁の一部が左房側に突出したり翻転(はんてん)する状態。
三尖弁逸脱(TVP):弁尖や支持組織が形態的に変化する事。
・弁組織の粘液腫様変性によるクリックは、収縮期のいずれの時相でも生じるが、心室充満量を一時的に減少させる手技(例:立位、バルサルバ手技Valsalva maneuver:息を止めて力むと、筋肉の緊張が起こっていつも以上の力が発揮できたり、心拍数が高まったりする現象)を行わせている間は、I音の方向に移動する。心室充満量が増大すると(例:仰臥位)、クリックはII音の方向に移動し、特に僧帽弁逸脱症で著明です。理由は不明ですが、クリックは診察のたびに特徴が大きく変化することがあり、前回は聴取されたクリックがなくなることもあります。
拡張期心音
- II音、III音、IV音(S2,S3,S4)
- 心膜ノック音
- 僧帽弁開放音
Ⅱ音
拡張期の開始時に大動脈弁と肺動脈弁の閉鎖により生じる。大動脈弁の閉鎖(A2は遅延や肺動脈弁の早期閉鎖がない限り,正常では大動脈弁閉鎖が肺動脈弁閉鎖(P2)に先行する。左脚ブロックや大動脈弁狭窄では大動脈弁の閉鎖が遅延し,ある種の早期興奮現象があると肺動脈弁の閉鎖が早まる。肺動脈弁の閉鎖遅延は,右室からの血流量増加(例,二次孔欠損型の心房中隔欠損症)または完全右脚ブロックにより生じることがある。心房中隔欠損症における右室血流量の増加も,大動脈弁および肺動脈弁閉鎖における正常の呼吸性変動を消失させ,II音の固定性分裂を生じさせる。右室容積が正常な左右短絡(例,膜様部心室中隔欠損症)では,固定性分裂は起こらない。単一のII音は,大動脈弁に逆流,高度狭窄,または閉鎖(共通弁が存在する場合の総動脈幹)が生じたときに発生することがある
過剰心音(Ⅲ、Ⅳ音)(gallop rhythm:ギャロップ リズム)
Ⅲ音は拡張早期、心室の急速充満期に発生し、心尖部、特に左側臥位で聴きやすいです。急速充満期に心房から心室へ流入した血流が心室壁で急に阻止された結果発生するが、阻止の程度が急であるほど音は強くなります。心室拡張期のコンプライアンスの減少で発生しやすい。僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁閉鎖不全症、心室中隔欠損症、心筋梗塞、虚血性心疾患、心筋症、心筋炎などで聴取され、心不全の徴候として重要です。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ音が引き続いて聴取できると、馬の早駆けの音に似るので奔馬調(gallop rhythm【おっかさん、おっかさん】と聞こえる)という。
Ⅳ音は、心房収縮により心室へ駆出された血流が心室壁で急激に阻止された音であり心尖部、左側臥位で聴きやすい。病的心臓における診断的価値はⅢ音より大きい。心室拡張末期圧上昇時に聴取されやすく、肺高血圧症、大動脈弁狭窄症、虚血性心疾患、心筋炎、心筋症で聴取できる。
心膜ノック音
拡張早期にIII音と同じタイミングで発生する。IV音は伴わず,より強勢な鈍い音であり、コンプライアンスが低下した収縮する心膜によって心室充満が急激に停止したことを意味する。
僧帽弁開放音
僧帽弁狭窄やまれに三尖弁狭窄において、拡張早期に生じることがあります。僧帽弁開放音は非常に高調な短い音であり、膜型の聴診器で最もよく聴取されます。僧帽弁狭窄が高度であるほど(すなわち左房圧が高いほど)、開放音はII音の肺動脈弁成分に接近する。強度は弁尖のコンプライアンスと関係しており、放音は弁尖が弾性を維持している場合は強く聴取されるが、弁尖の硬化、線維化、および石灰化が進行するにつれて次第に弱くなり、最終的には消失します。僧帽弁開放音は、ときに心尖部でも聴取されるが、多くの場合、胸骨左縁下部で最もよく聴取され、そこでしか聴取されないことも多いです。
今回はここまでです。心音は奥深い。肺音はよく聴診しますが、心音はよく解らないからと避けていました。逃げずに患者様と向き合います。今日も最後まで一緒に勉強してくれてありがとうございます。また、遊びに来てください。
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