フレイルって何?!虚弱!!評価は?

physical assessment

今日は、フレイルについて話していくよ。前回、サルコペニア・ダイナぺニアについて話しましたが(まだ見ていない方はこちら)、今回はフレイルです。サルコペニアと何が違うの?どんな検査するの?いろいろ知らないことだらけです。では早速勉強していきましょう。

このブログでは、私が勉強してきたことや考え方、この治療ってどうなのかなとみんなが疑問に持っている事など(また趣味の筋トレとかも・・・)をなるべくわかり易く伝えていきたいと考えています。ぜひ読んでいってください。

スポンサーリンク

フレイルとは

フレイルFrailty:虚弱、弱さ、病弱って意味です)は、「臨床的に障害をきたす閾値があると仮定すると、予備能を持つ身体機能が複数低下している状態」と定義されています。 予防意識を高めるために、2014年日本老年医学会から提唱された言葉が「フレイル」です。 なんだかよく解らないので簡単に言うと、健康状態と要介護状態の中間に値するのがフレイルです。健康の人に比べて要介護状態に至る危険性が高まるだけではなく、転倒する可能性や入院のリスクも高く、健康で長生きができる割合が低くなると言われています。また、身体的問題のみならず、認知機能障害うつなどの精神・心理的問題独居や経済的困窮などの社会的問題含む概念でもあります。

引用:フレイルトレーナー 養成テキスト,東京大学高齢社会総合研究機構,飯島勝矢

こころと体のちょっとした衰え前虚弱:プレフレイル)にいち早く気づくことが大切って言われています。
①後期高齢者(75歳以上)の多くの場合、健常な状態からフレイルを経て、徐々に要介護状態に陥ると考えられています。
②フレイルの状態に至ると、7年間の死亡率が健常な人に比べて約3身体能力の低下が約2倍あり、様々なストレスにも弱い状態になっていると言われています。
③フレイルは、適切な生活習慣の見直しにより、再び健常な状態に回復するという可逆性があるとも言われています。

Freidの定義

フレイルは欧米では1980年代より盛んに使用してきた言葉です。Friedらは身体的フレイルの定義を①体重の減少 ②主観的疲労感 ③日常生活活動量の減少 ④身体能力(歩行速度)の減弱 ⑤筋力(握力)の低下の5項目を診断基準としました。
この5項目のうち3項目以上当てはまればフレイル1または2項目当てはまればプレフレイル0個ではノンフレイル(robustまたはfit、健全な)と判定されます。3段階で評価できます。


主観的な疲労感以外はサルコペニアの表現型と同一と考えます。なので低栄養、サルコペニアとフレイルとの関連性を示すフレイル・サイクルにもFreidの定義が生かされ
ています。

参照: 葛谷 雅文 雨海 照祥 「フレイル 超高齢社会における最重要課題と予防戦略」p.12

身体機能の低下の合計モデル health degicit accumulation model (Frailty Index :FI)による定義

Freidの定義以外で用いられることのある身体機能の低下の合計モデルのフレイルの定義の構成には、主にComprehensive Geriatric Assessment(CGA:包括的高齢者評価)を用いられます。複数の評価方法が報告されていますが、その中でも代表的なのがFrailty Indexです。これは、health deficits(健康障害)を漏らさずチェックできる項目で構成され、包括的な評価ができます。しかし、項目数が最大で40に及ぶため評価の時間がかかる短所があります。

参照:虚弱インデックスを作成するための標準的な手順 – PubMed (nih.gov)
参照:PubMed Central, Figure 1: BMC Geriatr. 2008; 8: 24. Published online 2008 Sep 30. doi: 10.1186/1471-2318-8-24 (nih.gov)

 最初の評価がで、18か月後の評価がです。徐々にFrailty Indexの値が右に変位しています。年齢とともに虚弱傾向になっていくのかなと感じます。この検査では何点から虚弱・フレイルとは書いていないですが、個人の状態を経時的に見ていくことができます。また、どこにアプローチすればいいかが個々でわかると感じました。個別の評価・治療ができるのかなと感じます。

シンディ
シンディ

Frailty Indexは、Freidの定義より質問内容等本当に多いですよね。フレイルを定める項目の統一はまだされていません。再検討が必要と言われています。

介護予防基本チェックリスト

私たちの国では、介護予防のための基本チェックリストがフレイルの評価表に相当されるとされています。25項目の質問事項のなかに手段的ADL,運動器・転倒、栄養状態・口腔機能、閉じこもり、認知機能うつ6つの領域が含まれています。

①1~20までの20項目のうち10項目以上に該当=複数の支障あり
②6~10までの5項目のうち3項目以上に該当=運動機能の低下
③11.12の2項目のすべてに該当=低栄養の状態
④13~15までの3項目のうち2項目以上に該当=口腔機能の低下
⑤16.17の2項目のうち16に該当=閉じこもり
⑥18~20までの3項目のうちいずれか1項目以上に該当=認知機能の低下
⑦21~25までの5項目のうち2項目以上に該当=うつ病の可能性

フレイル・サルコペニア(Sarco=筋肉、Penia=減少)予防の3つの柱

フレイルやサルコペニアの予防には、3つの要素(栄養、運動、社会参加)が関っていると考えられています。そのため、栄養(食・口腔機能)、運動、社会参加のどの側面が欠けてもフレイル・サルコペニアのリスクが高まるため、包括的に取り組んでいく必要があります。

運動:1回30分以上の汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施している。
:ほとんど毎日4食品群以上食べている。
社会参加サークルや団体などの組織に2つ以上入っている
このような人は、サルコペニアのリスクが低くなります。

フレイルチェック(東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢先生資料)

指輪っかテスト(簡易チェック)

指輪っかテストは年齢を重ねていくとともに筋肉が衰えていくサルコペニアという現象を簡単に自分で評価できるテストです。このテストは東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授らによって考案されました。隙間ができる場合、囲めない場合やちょうど囲める場合に比べサルコペニアのリスクが高くなります。しかし、サルコペニアの確定診断ではありませんので注意してくださいね。(サルコペニアについての資料をお探しならこちらサルコペニアを早期発見させるためのものです。

方法は、親指と人差し指で指輪っかを作り、利き足(ボールをける足)でない方のふくらはぎを指輪っかで囲みます。足の位置は、膝を90°に曲げて行います。大体の人は右足でボールを蹴るから左足で検査します。

引用:フレイルトレーナー 養成テキスト,東京大学高齢社会総合研究機構,飯島勝矢

囲めない・ちょうど囲める人は青(合格)、隙間ができる赤(不合格)

イレブンチェック(簡易チェック)

フレイルを予防するには、自分の体や生活の状態を把握することが第1歩です。イレブン・チェックには、フレイルの主要因であるサルコペニアと関連の深い質問が含まれています。

4・8・11は「はい」「いいえが逆になっているので注意してください。

噛む力(深堀チェック)

人差し指から小指までの4本を、耳の前のもみあげのあたりにあて、奥歯をぐっと噛みしめるときに収縮を触診します。両側とも強く押されるといいです(青●)が、弱く押されるもしくはほとんど感じることができない場合や左右の差が大きい場合は判定です。
咬筋こうきんは骨格筋(随意筋)で咀嚼筋そしゃくきんの一つです。浅部と深部に分かれており、浅部では起始が頬骨弓(側頭骨と頬骨で作る)の前2/3、停止が下顎骨咬筋粗面下部、深部では起始が頬骨弓の後ろ2/3で、停止が下顎骨咬筋粗面上部です。

滑舌(パタカ)

5秒間(商品の説明では10秒間)になるべく早く「タ」もしくは「パ」「カ」音を繰り返し発音してもらい、その回数を測定します。1秒間に6回以上の場合は青●、1秒間に6回未満の場合はです。「パ」唇、「タ」下の前方、「カ」舌の後方の動きが必要です。
・健口くんハンディ

参照:口腔機能の測定.健口くん.T.K.K3350 .健口くんハンディ.T.K.K.3351.竹井機器工業.口腔機能向上トレーニングの測定に健口くん. (kdd1.com)
参照:口腔機能の測定.健口くん.T.K.K3350 .健口くんハンディ.T.K.K.3351.竹井機器工業.口腔機能向上トレーニングの測定に健口くん. (kdd1.com)
シンディ
シンディ

6未満の方は、口周りや舌の筋肉が弱っている可能性があります。日ごろから意識して口や舌を動かしましょう。よくリハビリでは、「パ・タ・カ・ラ体操」をして口周りを鍛えますが、毎日よくしゃべることが大事ですね。

片足立ち上がり(深堀チェック)

40㎝の椅子に浅く座り、両手を前で組片足で立ち上がります。反動をつけずに行うように指示します。また、立ち上がったら3秒片足立ちをします。できたら青●、できなかったら

参照:locomo_leaf_0902 (locomo-joa.jp)
シンディ
シンディ

こちらの図はロコモシンドロームの画像を参照しましたが、私40代男性は40㎝の片足立ちができればOKです。でも、それでも私は満足できないので20㎝に挑戦!!できました。20代の筋力です。

目指せ20代!!数字を参考にしてください。

検査をするときは、前方と側方に2人の測定人員が何時でも転倒しないように支える準備が必要です。転倒に注意しましょう。

ふくらはぎ周囲長(深堀チェック)

メジャーを使用しふくらはぎの一番太いところを測定します。指輪っかテスト同様利き足でない方を測定します。
判定は、男性34㎝以上、女性32㎝以上の場合は

     男性34㎝未満、女性32㎝未満の場合は

握力(深堀チェック)

立ったままで利き手で握力計を持ち、肘を伸ばし握ります。

判定 男性30㎏以上、女性20㎏以上の場合は青●
   男性30㎏未満、女性20㎏未満の場合は

スメドレー式デジタル握力計(引用:竹井機器工業株式会社)

手足の筋肉量(深堀チェック)

体組成計を使用し、四肢骨格筋量÷身長(m)÷(m)の値を記録します。
判定 男性7.0㎏/m²以上、女性5.7㎏/m²以上の場合は青●
   男性7.0㎏/m²未満、女性5.7㎏/m²未満の場合は

引用:フレイルトレーナー 養成テキスト,東京大学高齢社会総合研究機構,飯島勝矢

総筋量ー体幹筋量=四肢骨格筋量(Kg)
四肢骨格筋量÷身長(m)÷身長(m)=手足の筋肉量

シンディ
シンディ

電卓を用意して計算するといいですね。暗算は難しので!!

お口の元気度(深堀チェック)

過去3か月のうちに、どのくらいの頻度で質問のようなことがあったかを聞きます。すべて終わったら合計の点数を出します。12問の質問からなるGeneral Oral Health Assessment Index(GOHAI)という質問尺度の日本語版です。
判定 58点以上、お口の状態は良好です。 
   58点未満、お口の状態があまりよくないです。

参考:フレイルトレーナー 養成テキスト,東京大学高齢社会総合研究機構,飯島勝矢

人とのつながり(深堀チェック)

高齢者の社会ネットワークを測定するために世界中で用いられているLubbet Social Network Scale(NSLS-6)という質問尺度の短縮日本語版です。
判定  12点以上は
    12点未満は

参考
参考:フレイルトレーナー 養成テキスト,東京大学高齢社会総合研究機構,飯島勝矢

社会参加(深堀チェック)

所属している組織の数で、社会参加のレベルを測ります。
判定 1点以上
   0点

参考:フレイルトレーナー 養成テキスト,東京大学高齢社会総合研究機構,飯島勝矢

こころ(深堀チェック)

最近1週間のことについて聞きます。高齢者のうつ傾向を測定するGeriatric Depression Scale(GDS)という質問尺度の日本語版です。
判定方法

 1、5、7、11、13 には「はい」0 点、「いいえ」に 1 点を、2、3、4、6、8、9、10、12、14、15 にはその逆を配点し合計する。5 点以上がうつ傾向、10 点以上がうつ状態とされている。

参考:フレイルトレーナー 養成テキスト,東京大学高齢社会総合研究機構,飯島勝矢
シンディ
シンディ

今日は、フレイルについての評価までを載せました。身体的フレイル、オーラルフレイル、社会的フレイル、心理・認知的フレイル個々のフレイルに対してどのような対応をしていくかは次回話していきたいと思います。赤の項目が多かった方まだ安心してください。フレイルの状態からノンフレイルに戻すことは可能です。早期に自分の体を知り、行動に移せばまた健康な体を取り戻せる可能性があります。まず、自分の体を知って一歩です。リハ職の方は、地域に出たときに参考なればと思います
最後まで読んでくれてありがとうございます。また、読みに来てください。待ってまーす。

コメント

タイトルとURLをコピーしました