今回は、「FeNO検査って何ですか?」です。私も研修会で「何ぞやそれは!!」と思って全然ついていけなかったので、これは勉強せな!!と思い今回のテーマとしました。私なりに勉強したことを話していきますね。よく解らない点が多いですが、なるべく自分でもわかるように作っていくので一緒に勉強しましょう。もしよく知っている方がいましたら、教えてくださいね。
このブログでは、私が勉強してきたことや考え方、この治療ってどうなのかなとみんなが疑問に持っている事など(また趣味の筋トレとかも・・・)をなるべくわかり易く伝えていきたいと考えています。ぜひ読んでいってください。
FeNO検査とは
呼気一酸化窒素濃度(fractional exhaled nitric oxide: FeNO)検査のことを言います。
一酸化窒素(nitric oxide: NO)は生体内で産生され、血管拡張作用などの多彩な生理作用を有するガス状の分子です。1993年以降、健常者に比べて、喘息患者の呼気中に多量の NO が存在することが証明され、現在に至るまで呼気 NO 濃度(fractional exhaled NO: FeNO)と喘息に関する多数の報告があります。日本でも2013年に携帯型の NO 測定器が保険収載されて以降、日常臨床でも汎用されています。(私の病院にはありませんが・・・(:_;))
そもそも喘息って?
喘息とは、慢性の、①気道炎症、②気道過敏性の亢進、③可逆性の気道閉塞を特徴とする疾患で、発作性に呼吸困難、喘鳴、咳などの呼吸症状をきたす症候群です。
年々、増加傾向にあり、日本で400~500 万人(小児喘息の有病率は約 7%、成人喘息は 4%と推察)に達していると考えられ、この 30 年で、約 3 倍に増加!!国民病のひとつです。しかしながら、喘息死は減少傾向で、平成 26 年には年間1,550 人と減って来ています。
喘息の分類
喘息には、特異的 IgE の関与する①アトピー型喘息と、その関与がない。②非アトピー型喘息に分けられ、種々の相違点がみられます。
特異的IgEとは、アレルゲン(allergen:アレルギー反応の誘因となる物質のこと)による感作がおこると、そのアレルゲンにだけ結合することができる特異IgE抗体が形質細胞で産生されます。アレルゲンが卵白であれば卵白特異IgE抗体、ダニであればダニ特異IgE抗体が産生されます。産生されたIgE抗体は、血液中を流れて、私たちの皮膚や粘膜のすぐ下にいるマスト細胞や、血液中を流れる白血球の一種である好塩基球の表面にくっつき、アレルゲンと出会うのを待っています。
症状は、特に夜間~早朝にかけて、発作性の喘鳴、咳、呼吸困難(息切れ)、胸苦しさ、喀痰が反復性にみられるのが特徴です。走ったり運動後息苦しいこともあります。
気管支喘息では、なぜNOが上昇するの?
気管支ぜん息では、NOは主に好酸球(白血球の一種)性炎症によって誘導型NO合成酵素(inducible nitric oxide synthase: iNOS)が発現し、NOの産生が亢進するので、呼気中のNO濃度を測定することにより気道の好酸球性炎症が評価できることになります。実際に、呼気NO濃度が気道粘膜の好酸球浸潤、気管支肺胞洗浄液中の好酸球比率と相関することが確認されています。
細かく書くとこの様なことが起きます。↓
NOは一酸化窒素合成酵素(nitric oxide syn thase:NOS)を触媒として、生体内でL―アルギニンがL―シトルリンに転換されるときに産生されます。NOSには3種類のアイソフォーム(isoform:構造は異なるが同じ機能をもつタンパク質)が知られており、その活性化機構、発現様式、および細胞内局在が明らかにされています。神経細胞、骨格筋細胞等に存在する神経型NOS(neuronal NOS:nNOS)および血管内皮細胞などに存在する内皮型NOS(endothelialNOS:eNOS)は、いずれも構成型NOS(constitutive NOS:cNOS)であり、酵素活性発現にはアゴニスト(アセチルコリンなど)の刺激による細胞質のCa²⁺の濃度上昇が必要であり、Ca²⁺依存性に短時間作用します。一方、炎症性サイトカインやエンドトキシン(グラム陰性菌の細胞壁を構成するリポ多糖)の刺激によりmRNA(messenger ribonucleic acid)が合成される誘導型NOS(inducible NOS:iNOS)は、いったん酵素が合成されると、Ca²⁺濃度に依存せず、cNOSに比べて長期間、大量にNOを産生します。
喘息では,IL(interleukin)-4,IL-5,IL-13を含む炎症性サイトカインを産生するTh2細胞や肥 満 細 胞 が 活 性 化 し ます。IL-4 やIL-13 はSTAT-6(signal transducer and activator of tran scriptoin-6)転写を介し気道上皮細胞でのiNOS合成を誘導し、多量のNOが産生されるため、喘息患者では健常者に比べ呼気中のNOが高濃度で検出されます。喘息患者の呼気NO濃度は、喀痰や生検組織を用いて評価した気道の好酸球性炎症の程度と有意に相関し、呼気NO濃度測定は“非侵襲的に下気道の好酸球性炎症を捕捉する検査”と位置付けられています。一方、同じ炎症性気道疾患でも、 慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)患者においては活性酸素によりNOが気道局所で消費されるため、呼気中のNO濃度は高値とならない。酵素気管支喘息の新しい診断ツール喘息の病像は多様であるが、気道の慢性炎症は一貫した特徴です。呼気一酸化窒素濃度は、気道の好酸球性炎症を捕捉するバイオマーカーであります。喘息を疑わせる呼吸器症状に加え、気道炎症の存在は喘息の診断と言えます。
FeNO測定値
日本人の成人健常人の正常値15ppb 正常上限値37ppb
喘息と診断
喘息を疑う症状
・ゼーゼー、ヒューヒューというぜん鳴がある。
・せきが続き、ときに呼吸困難が起こる。
・症状は一過性だが、繰り返し起こる。
・夜間から早朝にかけて症状が出やすい。
・冷たい空気、たばこの煙、ハウスダスト、運動などをきっかけに症状が出やすい。
・台風や季節の変わり目などに症状が出やすい
+
FeNO22ppb以上では、喘息の可能性があり、37ppb以上であれば喘息である可能性は非常に高い。
検査前に注意すること
測定前の食事や検査によって値が変化してしまいます。検査前に問診などで、測定の1時間前までに食事を済ませているか?感染症罹患の有無を確認、スパイロメトリー前に実施していること、次回測定時の時間を揃えることが重要です。
食品、飲料
上昇:硝酸を多く含む食品(サラダ菜、ほうれん草、ごぼう、レタス)
低下:アルコール、果糖、脂質の過剰摂取
薬剤
影響なし:ニトログリセリン、硝酸イソソルビド
低下:吸入ステロイド、全身性ステロイド
感染症
上昇:急性期の気道感染症
呼吸機能検査
低下:スパイロでの努力呼出後
気道内径
低下:気道内腔狭小化
日内変動
コントロール不良な喘息患者では日内変動が大きい
方法
呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)測定器 NIOX VERO(ナイオックス ベロ)
呼気NOモニター NObreath
まとめです。
①呼気一酸化窒素濃度(fractional exhaled nitric oxide: FeNO)検査とは、気管支喘息の方を主に検査し、NOの濃度をみます。
②気管支喘息では、好酸球性炎症によって誘導型NO合成酵素(inducible nitric oxide synthase: iNOS)が発現し、NOの産生が亢進する。
③FeNO22ppb以上では、喘息の可能性があり、37ppb以上であれば喘息である可能性は非常に高い。
研修会で知らないことがまだまだたくさんあると感じます。分らないことは調べて、アウトプットして行きますね。間違っていることがあったら教えてください。最後まで読んで頂いてありがとうございます。今度ACOについても書こうかと思います。ACOって何と思った方は、次回も楽しみに。
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