今日は、触診について話していくよ。前回、前々回に続いてフィジカルアセスメントの触診です。いよいよ触って感じていきましょう。私もしっかり勉強していきたいと思います。では早速行きましょう。
このブログでは、私が勉強してきたことや考え方、この治療ってどうなのかなとみんなが疑問に持っている事など(また趣味の筋トレとかも・・・)をなるべくわかり易く伝えていきたいと考えています。ぜひ読んでいってください。
フィジカルアセスメントとは
フィジカルアセスメント(Physical 身体の assessment評価)とは、問診とフィジカルイグザミネーション(examination調査:視診、触診、聴診、打診)を用いて、身体的健康上の問題を明らかにするために、全身の状態を系統的に査定することです。
フィジカルアセスメントの基本手順
フィジカルアセスメントは、患者の心身の侵襲を少なくするために、以下5つの手順でおこないます。
① 問診:患者の訴えを聞きます
② 視診:患者の全体を観察し、身体の機能も異常がないか確認します
③ 触診:患者に触れて皮膚などの状態や痛みの部分を正確に知ります
④ 打診:患者の身体の表面を叩いたり振動から内部の状態を知ります
⑤ 聴診:聴診器を使って呼吸音や心音、血管音、腸音などに異常がないかを聴きます
胸郭の動き
まず、触る前に胸郭の動きは確認しておきましょう。胸郭は、胸椎(12個)・肋骨・胸骨で構成される体幹上部を示します。胸椎と肋骨の関節で肋椎関節があります。肋椎関節は、肋横突関節と肋骨頭関節があり、肋横突関節と肋骨頭関節を結ぶ線を軸として、バケツの取手を動かすように回転する。回転軸が 矢状面【sagittal plane図2 ,ちなみに水平面 horizontal plane,冠状面(前額面 ; 前頭面)coronal plane,正中面(正中矢状面)median planeっていうのがあるよ】に垂直な方向を向いている上部の肋骨の回転運動は、ポンプハンドル運動(Pump-handle motion)と呼ばれる動きとなり,体の中央に位置する胸骨を前上方に持ち上げ胸郭の前後径を増加させます。回転軸が 前額面に垂直な方向を向いている下部肋骨の回転運動は、バケットハンドル運動(Bucket-handle motion)と呼ばれる動きとなり、肋骨の中央部が外側に持ち上げられ胸郭の左右径を増加させます。これらの運動が、胸郭を前後および左右に拡大させ、吸気を促しています。
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続いて私の胸郭の動きです。いつも勉強会で使っているもので放射線技師(Radiologist)に頼んでX線透視画像をとっていただきました。動画ではないんですが、画像で提示します。左リハ安静呼吸の呼気です。右側が深呼吸時の吸気です。前額面の画像は左右の肋骨が広がっていますね。矢状面では、少し上部が前に出ています。
呼吸筋 呼吸補助筋
呼吸筋は、換気を生み出すポンプの作用をしています。呼吸運動は、呼吸筋が収縮してはじめて行な われます。 呼吸筋の中には、横隔膜、肋間筋および胸壁の筋、腹筋、呼吸補助筋、上気道の筋に分類されます。呼吸運動の主役は横隔膜、肋間筋、腹筋です。呼吸補助筋は、胸鎖乳突筋、斜角筋、僧帽筋、大・小胸などがあります。この中で重要な役割をするのが、胸鎖乳突筋と斜角筋です。しかし、近年の研究では、斜角筋は呼吸補助筋ではなく、主動筋として扱われるとも言われています。
横隔膜筋:安静吸気の70%は横隔膜で行われていると言われています。横隔膜の収縮により、胸腔内圧の陰圧化、腹腔内圧の上昇及び腹腔の内臓を下方に移動、下部胸郭の拡張が起こります。
肋間筋:外肋間筋・内肋間筋に分けられ、外肋間筋と内肋間筋の前部線維は吸気筋であり、内肋間筋の横・後部線維は呼気筋とされます。
斜角筋:頚部の前屈(首を前に曲げ)と左右の回旋(横を見るように回すこと)と第1・2肋骨の引き上げ、上部胸郭を拡張する働きをします。
胸鎖乳突筋:頚部の屈曲と左右の回旋、胸骨を引き上げ胸郭の前後径を増大する働きがあります。
触診方法
呼吸補助筋の触診は、上記の筋を視診と触診し硬さを確認してください。斜角筋に関しては、胸鎖乳突筋と僧帽筋、鎖骨でできる三角形の間にある筋であることを知っておくと触診しやすいいです。
Rattling(ラトリング)の確認
Rattlingの意味を調べると「ガタガタ鳴る、活発な、元気な、速い」って言う意味になるそうです。気道内分泌物があるとき胸郭に手を置くと触覚振盪によりラトリングを触診することがある。触診されると重度の畜痰を意味します。
1上部胸郭(鎖骨~剣状突起)
上部胸部は先で述べたようにポンプハンドルモーションと言われる、吸気時斜め情報に挙上します。また、外側方向にもわずかに拡張するバケットハンドルモーションも起こりますが、下部胸郭に比べると小さな動きがあります。
触診では、両手を左右上部前胸部を覆うように配置する。指尖は、鎖骨下縁に置き体格が大きい場合は指間を広げて行います。微細な左右差や部分的な異常な動きを触診します。
2下部胸郭(剣状突起より下部)
下部胸郭は前後径と横径ともに拡大する形で吸気時に拡張する。下部の側胸部は頭側方向だけでなく外側方向にも拡張するバケットハンドルモーションがより拡張します。
触診は剣状突起に両母指を置き、その位置から母指と示指が胸部側面の肋間に沿うように位置に到達すると、そこが第6肋間にになります。環指から小指は腋窩中線で第8肋間以下の側面下部に手を置きます。
3片側胸部(上部下部の側胸部)
頭側の手掌は、小指が鎖骨に触れない位置から腋窩に沿って触ります。尾側の手掌は小指が肋骨弓付近にくる位置に置く、頭側の手掌と同調して確認する。
4胸部と腹部(自発呼吸様式を把握)
胸骨上と上腹部それぞれに両手掌を置き、触診で自発呼吸の様式を把握します。尾側の手掌は胸部の動きの影響を排除するために肋骨弓や剣状突起に拇指示指が触れないように臍上部の腹壁上に置きます。頭側の手掌は、男性であれば胸骨に直角に胸骨中央部に置いてもよいが、女性では乳房を避け胸骨に沿って手掌を置きます。
5上腹部と肋骨弓下(横隔膜運動)
横隔膜運動に左右差がある場合や下部胸郭に拡張障害がある場合には、上腹部および肋骨弓下部分にも左右差を認めることがあります。呼吸運動時の動きの差だけでなく、安静呼気位の高さに左右で違いを認めることがあります。
触診では、横隔膜が収縮下降することを、指先もしくは示指側面を肋骨弓下に軽く押し込むような形の触診で確認します。
6肋間と陥凹
肺が拡張できない状態では、吸息時に胸腔内に陰圧が発生し、肋間をはじめ胸郭体表の各部に陥凹を発見できる。陥凹は肺の拡張のわるい部分に強く出現しやすく、その部位と陥凹の程度をアセスメントします。COPDの患者様は横隔膜が平定化し、腹式呼吸を行わせると肋間が陥凹が強く出ることがあります。
触診は、下部胸郭の触診と同様に、第 6 肋間に示指を置き、順に次肋間に沿って指を添えます。肋間を診る場合には触診する診察者が所見を把握しにくい場合には、患者に意図的に大きく速く吸息するように指示しながらアセスメントするとわかりやすいです。
胸郭の柔軟性(呼吸介助法の利用)
理学療法学 第16巻第4号 267~272.1989
上胸郭(両側の鎖骨下前胸部)にtotal contactでさわります。患者の呼気に合わせて、呼気の胸郭運動方向に押すポンプハンドルモーションですね。終末呼気まで介助を行い、吸気に移ったら速やかに圧迫を解放します。介助の時の治療者の重心は、上部胸郭を押し下げながら前方(治療者の前足)に徐々に移動させる。治療者の肘は軽度屈曲位、重心を患者にかけてはいけないことを注意しましょう。胸郭の硬さも確認していきましょう。
動画が日本呼吸ケア・リハビリテーション学会の学会員は呼吸介助の動画が見れますのでそこをクリックしていきましょう。
気管の触知(気管の走行・偏位)
気管の位置が外部組織からの影響により、左右いずれかに偏位した状態です。広範な無気肺の場合には無気肺化した側に気管が引き寄せられ、縦隔腫瘍などの場合には反対側に押し出されます。
気管が短縮するのは、呼気時に甲状軟骨~胸骨上切痕部との距離が2横指以下の場合、気管短縮と判断します。肺の過膨張所見として見られます
横隔膜呼吸の確認
利き手で斜角筋の触診を行い、もう片手は腹部を触知してください。横隔膜と斜角筋の収縮パターンを確認します。
力富 直人2)・川俣
貴行・池田 弥生・濱崎 広子
幹雄3)・千住 秀明4)
Grade | 横隔膜と斜角筋の収縮パターン | 呼吸様式 |
5 | 横隔膜のみ収縮 | 横隔膜呼吸優位 |
4 | 横隔膜が収縮して吸気の終わりに斜角筋が収縮 | 横隔膜呼吸優位 |
3 | 斜角筋と横隔膜筋が同時に収縮 | 横隔膜・胸式混合呼吸 |
2 | 斜角筋が収縮して横隔膜が収縮 | 胸式呼吸優位 |
1 | 斜角筋のみが収縮 | 胸式呼吸優位 |
今日はここまでです。私も知らなかったです。斜角筋と横隔膜の収縮の確認。勉強は大切だと本当にわかりました。文献やGoogle様ありがとう。また、次回の記事をお楽しみ。
どうもありがとうございました。
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