喘息とは?高齢者の喘息についても

physical assessment

 今回は、喘息について話していきますよ。COPDやACOについて話しているのに、喘息についてはよく知らない!!と気づいたので、喘息のことや喘息持ちの高齢者の特徴なども伝えられたらと思い書いていきます。では、早速行きましょう。

このブログでは、私が勉強してきたことや考え方、この治療ってどうなのかなとみんなが疑問に持っている事など(また趣味の筋トレとかも・・・)をなるべくわかり易く伝えていきたいと考えています。ぜひ読んでいってください。

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気管支喘息・喘息(Asthma)って?

 気管支喘息(以下喘息)は『気道の慢性炎症を本態とし、変動性を待った気道狭窄による喘鳴、呼吸困難、胸苦しさや咳などの臨床症状で特徴付けられる疾患』であります。

気道炎症

好酸球リンパ球マスト細胞好中球などの炎症細胞に加えて、気道上皮細胞、線維芽細胞気道平滑筋細胞などの気道構成細胞、および2型サイトカインなどの種々の液性因子が関与しています。

気道炎症気道過敏性亢進によって生じる気道狭窄・咳は自然に、あるいは治療により可逆性(元の状態に戻りうること)を示します。持続する気道炎症は、気道粘膜の障害とそれに引き続く気道構造の変化(リモデリング:構造が変化して元に戻らない状態)を誘導し、非可逆性の気流制限をもたらします。

引用:喘息予防・管理ガイドライン2021 、アレルギー学会・喘息ガイドライン専門部会

喘息の問診、聴診と身体所見

問診

喘息患者は喘鳴、咳、息切れ、胸苦しさなどを訴えて外来を受診することが多い。『喘鳴を伴った息苦しさ』の訴えは比較的喘息に特徴的であります。初期診察の際、まず感染症疾患の除外が必要であり、呼吸器以外の疾患が原因である可能性についても検討します。成人の場合は、年齢や喫煙歴、併存疾患も考慮しながら評価します。咳が唯一の症状である場合もあるので注意が必要です。他に明らかな原因がなく、症状の持続性や反復性から慢性気道疾患の可能性が高いと判断されたら、喘息を疑わせる症状を詳細に聞き取る必要があります

引用:喘息予防・管理ガイドライン2021
引用:喘息予防・管理ガイドライン2021

聴診

呼気性喘鳴(wheezes)が特徴的であります。気道狭窄の程度によっては、吸気時にも聴取され、呼気延長を伴うこともあります。安静換気で喘鳴や呼気延長が明らかでなくとも、強制呼出させると顕在化することがあります。喘鳴が聴取される部位はびまん性のことも散在性のこともあるが、常に同じ部位で喘鳴が聴取される場合は器質的狭窄の可能性も考慮します。明らかな呼吸音の左右差や水泡音捻髪音が認められる場合は他疾患を疑います

引用:喘息予防・管理ガイドライン2021

喘息診断

①発作性の呼吸困難、喘鳴、胸苦しさ、咳などの症状の反復、②変動性、可逆性の気流制限、③気道過敏性の亢進、④気道炎症の存在、⑤アトピー素因の有無、⑥他疾患の除外を目安として行います

引用:喘息予防・管理ガイドライン2021

喘息と鑑別すべき他疾患

引用:喘息予防・管理ガイドライン2021

※1 VCD:吸気時に声帯が内転する奇異性声帯運動により喉頭で吸気性喘鳴をきたす病態
※2 気管軟化症:気管の太さ(内腔径)が、息を吸うときはある程度保たれていますが、吐くときは狭くなり(狭窄)、呼吸障害などの症状を伴う疾患
※3 サルコイドーシス:全身臓器、眼、皮膚、神経など、全身のさまざまな部位に炎症が生じ、乾酪壊死かくらんえし(壊死の一種でチーズのような見た目をしている)を認めない類上皮細胞肉芽腫という結節(しこり)ができる原因不明の病気
※4 再発性多発軟骨炎:骨とともに骨格を形作っている軟骨に原因不明の 炎症 が繰り返し起きる(再発性)疾患。気道軟骨炎は気道 狭窄 や閉塞をきたす可能性がある。
※5 びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis;DPB):「細気管支」と呼ばれる部位に慢性的な炎症を生じる病気。
※6 うっ血性心不全:心臓のポンプ機能が弱まり、充分な量の血液を全身に送れなくなって、血液の滞留(うっ血)が起こってしまった状態です。肺水腫にもなる。
※7 肺血栓塞栓症:肺動脈に血液の塊である血栓が詰まる病気です。いわゆるエコノミークラス症候群である。
※8 ACE:この酵素は、人体内で血圧を上昇させる物質アンジオテンシンⅡを合成します。ACE阻害薬はこの酵素の働きを弱めて、血圧を下げる働きがあります。しかし、この薬は同時に、咳を引き起こす物質ブラジキニンやサブスタンスPの分解も阻害してしまうため、人によっては空咳の副作用(約1~5%)が出てしまいます。
※9 自然気胸:肺にできたブラ(肺の膜の薄い部分のようなもの、肺の表面の薄い袋)が破けて、空気が胸腔内に漏れ出すことで起こります。突然症状が現れ、一度治っても再発率が高い病気。
※10 迷走神経刺激症状:気道や肺には呼吸に影響するさまざまな受容器が存在し、その多くは迷走神経に支配されている。肺刺激受容器、C線維受容器、肺伸展受容器などが代表的。しばしばヒスタミン・ブラジキニン、ブロスタグランジンなどの物質で刺激しばしば外装や気管支収縮などを発生する。
※11 過換気症候群:精神的な不安や緊張などを感じているときに、自分の意思とは無関係に呼吸回数が通常よりも多くなってしまう状態です。
※12 心因性咳嗽:心的要因が原因となり出現する症状。理生理的メカニズムにより、発作的または連続的に起こる乾性咳嗽。

喘息診断のアルゴリズム

下記に喘息診断のアルゴリズムを示します。エビデンスに基づき確立された診断アルゴリズムではなく、治療を優先せざるを得ない場合は、薬剤の反応性をもって評価しますが、経過中に検査により診断の再評価を行うことが重要です。

引用:喘息予防・管理ガイドライン2021

最大呼気流量PEF:peak expiratory flow):呼出時の最大気流量です。

 スパイロメトリ―では、肺気量分画(肺活量など)と努力性呼出曲線が解ります。努力性呼出曲線は、最大吸気位から最大呼気位に最大努力で呼出された時の呼気量を、時間スケールで記録したものです。コンピューター処理により縦軸をフロー(流量:単位時間あたりの空気の量)、横軸をボリューム(量)とした、フローボリューム曲線(flow-volume curve)が最もよく使われます。PEFR(peak expiratory flow rate:最大呼気流量)、FEV1.0 (forced expiratory volume in 1 second:1秒量)、FVC(forced vital capacity:努力性肺活量)、V50(50%肺気量位での呼気流量)、V25(25%肺気量位での呼気流量)などがあります。PEFRはおもに中枢軌道の径を反映し、、V50、V25はより抹消気道の径を反映していると言われています。

簡易的にPEFを検査できる道具もあります。

参照:独立行政法人 環境再生保全機構

日内変動率は、成人・小児でも20%以内となるように管理目標を設定しています

FeNOについては前のブログを見てください。(FeNO検査って何? | まなびPT (sinji0012312.com)

喘息の重症度と増悪強度分類

成人です。

引用:喘息予防・管理ガイドライン2021
引用:喘息予防・管理ガイドライン2021

高齢者喘息

世界保健機構(WHO:World Health Organization)では高齢者を65歳以上と定義しています。そのため、65歳以上で喘息に罹患している症例群を高齢者喘息として話します。

高齢者喘息では、喫煙、併存疾患、呼吸生理学的変化、フレイル、認知機能低下、免疫老化、ポリファーマシー(多くの薬を服用しているために、副作用を起こしたり、きちんと薬が飲めなくなるなど、多剤服用の中でも害をなすも)などの因子により、喘息の診断と治療に難渋することが多いとされています

引用:喘息予防・管理ガイドライン2021

高齢者喘息は発症時期により、若年期に発症して長期間にわたり持続している早発型と、成人期に発症した遅発型に大別されます。

引用:喘息予防・管理ガイドライン2021

他の年齢層と異なり、COPDとの合併症例ACO)が多いとされています。喘息を対象とした場合、ACOの有病率は11.1~64.0%とされています。喫煙歴を有する症例ではCOPD併存の可能性を考える必要があります。

治療

高齢者喘息においても基本的な病態は気道の慢性炎症であり、ICS(inhaled corticosteroid:吸入ステロイド薬)が長期管理における第1選択薬であると示されています。加齢に伴い、吸気流量は低下し、手指筋力低下や認知機能低下も関与して、吸入手技不良率は高まります。吸入手技の可否、操作手順の理解度を個々の症例で確認し、臨床背景に則したデバイスを選択する事が重要です。喘息コントロールが不良の場合、吸入手技とアドヒアランス(患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けることを意味する)を確認したうえでデバイスの変更や薬剤の追加を考慮します。

症状コントロールと増悪のリスクを回避に加え、自己管理能力の低下や薬物相互作用を考慮すべきであります。認知症やうつ病が併存する場合には、喘息長期管理の必要性に対する認識が乏しくなるためアドヒアランス低下し、喘息増悪を来しやすくなります。アドヒアランスの低下や薬物の自己管理が困難な症例では、介護者が吸入の補助を行うことで喘息の増悪頻度の低下、呼吸機能の改善が可能であります。個々の症例のレベルに合致した丁寧な吸入指導と教育・介護・ケアを継続する必要があります。

参照: 呼吸リハビリテーションマニュアルー運動療法ー第2版 p.7

パニックになった時を考えて、安楽の姿勢や呼吸法の指導が必要です。呼吸法では、口すぼめ呼吸や腹式呼吸の指導をします。(こちらを見てね。呼吸理学療法!! コンディショニング!! | まなびPT (sinji0012312.com))全身の筋力や持久力運動も必要であります。6分間歩行を行い、その60~80%での歩行などを行いましょう。(6Minutes Walking Distance Test(6MWDT)6分間歩行!!! | まなびPT (sinji0012312.com)

シンディ
シンディ

今日はココまでです。今日は、喘息予防・管理ガイドライン2021の本から勉強した内容を書きました。勉強したら知らないことばかりです。患者様でACOの方を介入したことがありますが、問診や吸入の方法はしっかりできているか。運動量をどのくらいにしたらいいか評価・治療は?とまだまだ、できることがあったと改めて反省と勉強になりました。これからも皆さんと一緒に勉強し、日々努力していきたいと思います。最後まで読んでくれてありがとうございます。また来てください。

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