「もう少し足首が曲がれば立ちやすくなるのに・・・」「ストレッチしても改善していないな」って思ったことはないでしょうか!今日は、足関節についてや制限はなんぞやとか、治療法についての勉強です。原因はこれだけじゃないですが一緒に勉強していきましょう!
このブログでは、私が勉強してきたことや考え方、この治療ってどうなのかなとみんなが疑問に持っている事など(また趣味の筋トレとかも・・・)をなるべくわかり易く伝えていきたいと考えています。ぜひ読んでいってください。
足関節の解剖
距腿関節・上跳躍関節
足関節は、距腿関節あるいは上跳躍関節とも呼ばれています。(上跳躍関節なんて聞いたことありませんでした。)距骨の距骨滑車と、脛骨の下関節面・内果関節面と腓骨の外果関節面の間の蝶番関節になります。足関節の動きは、底屈・背屈が可能です。距骨滑車は前部が後部より幅が広くなっていることが特徴の一つです。なので、足関節背屈時の方が関節はより固定性が高くなり、底屈時の方が関節のゆるみが大きくなります。
足関節の内側と外側は靱帯で補強され、距骨が内外側に傾斜しないようになっています。足関節の外側には外側側副靱帯である前距腓靱帯・後距腓靱帯・踵腓靱帯があり、距骨の内反を制御しています。足関節の内側には三角靱帯があり、これは脛舟部・前脛距部・後脛距部に分けられ、距骨の外反を制御しています。詳しくは関節運動学!!足部の構造!触診!!part1 | まなびPT (sinji0012312.com)
下跳躍関節(距骨下関節・距踵舟関節)
下跳躍関節は、後部の距骨下関節と前部の距踵舟関節から構成されています。
距骨下部の後踵骨関節面と踵骨上面の後距骨関節面との関節は距骨下関節と呼ばれ、顆状関節に分類されます。内側及び外側距踵靱帯と足根洞内にある骨間距踵靱帯で補強されます。
距踵舟関節は距骨、踵骨、舟状骨の間の複関節になります。距踵舟関節には、舟状骨粗面と距骨の載距突起との間に張る足底踵舟靱帯(スプリング靱帯)がありますが、その上に距骨頭が載って足弓保持にに役立っています。下跳躍関節は回旋が可能な車軸関節で、足部の内がえしと外がえしを行うことができます。関節運動学!!足部の構造!触診!!part1 | まなびPT (sinji0012312.com)でももっと詳しく書いてありますよ。
足関節背屈の可動域制限
足関節背屈可動域制限は、骨折や靱帯損傷などの外傷や術後に発生することが多いです。加えて麻痺性疾患などで生じることがあります。
制限の生じる因子は、足関節の前方と後方とに分けて評価すると捉えやすいと言われています。足関節の前方の制限因子は、距骨前脂肪体、関節包、筋膜、術創部などが挙げられます。
足関節の後方の制限因子では、足関節底屈筋群、ケイガーズ脂肪体(ケーラー脂肪体)、術創部などが挙げられえます。
距骨脂肪体
距骨脂肪体は足関節前面にある脂肪体で、足関節の背屈に伴い脛骨状に移動し、底屈すると足関節前面に移動します。この脂肪体は術後や外傷後により線維化し、肥厚することが多くの文献で言われています。
文献紹介
足関節骨折手術後の前足首インピンジメント症候群に対する前足首軟部組織動態とせん断弾性率の検証 |サイエンティフィックレポート (nature.com)
線維化繋がりでこちらの文献も→変形性膝関節症モデルラットの膝蓋下脂肪体線維化におけるマクロファージの性質と低出力超音波パルス療法が与える影響 (jst.go.jp)
膝蓋下脂肪体炎膝の疼痛発生メカニズムに対する超音波画像からの一考察 (jst.go.jp)
背屈時に足関節内側に制限感や疼痛がある場合、長母指伸筋の下にある距骨脂肪体のストローク(内外側から挟む)をするとか、上方へ滑走操作を実施します。距骨脂肪体は背屈時に上方に移動するため、この移動を促すようにイメージしながら滑走操作を実施します。この介入後、背屈の可動域を確認し、改善され疼痛も著明に軽減した場合、距骨脂肪体が背屈制限因子であると判断し、繰り返しこの操作を行います。また、毎日行ってもらうためセルフケアの指導も必要です。
ケイガーズ(ケーラー)脂肪体(Kager’s fat pad)
距骨後方には脂肪体があり、ケイガーズ脂肪体と呼ばれ、足関節の底屈・背屈に伴い、相当量の距離を移動することがエコー画像で観察できるとされています。この脂肪体も術後や外傷後に線維化し肥厚する事が多く、脂肪体の柔軟性が低下すると背屈時に疼痛を生じるようになります。
足関節底屈時に腹側パートは下方に移動し、背側パートは上方に移動します。反対に、足関節背屈時に腹側パートは上方に移動し、背側パートは下方に移動します。
なので、単純にここを揉み、底屈自動運動に腹側パートを下にする引き下げる運動を入力する。と改善が見られると言われています。
今まで筋や関節・神経のアプローチをしていたので、脂肪体にアプローチ!!目からうろこです。知らないことばかりです。
筋膜・術創部
術後や外傷後では、腫脹の影響で表層組織が線維化し、これに伴い筋膜の滑走性が低下することがよくあります。また、術創部の周辺で癒着が生じるので、その組織の周辺の滑走性が低下します。足関節前面にある筋膜や術創部周辺などの表層組織は、背屈時には短縮するため、背屈制限に影響を及ぼすことがイメージしにくいです。しかし、エコー画像で観察すると短縮する側の表層組織もかなりの距離を移動しているため、この部位の滑走が低下すると疼痛や可動域制限を生じる要因となるとされています。足関節後面の表層組織は背屈時には伸長されるため、この部位も滑走性が失われると疼痛や可動域制限を生じる。
関節包
関節包は、背屈筋群の滑液鞘と線維性に連結しているため、底屈位から背屈位への動きに伴い、上方に移動し折りたためる。
しかし、術後や外傷後に関節内もしくはその周辺組織との間に癒着や滑走不全が生じると正常な折り畳みができないで、圧迫感や部分的に伸長される部位が発生することで疼痛や可動域制限を生じるようになる。またこのような状態は距骨脂肪体の移動も制限するため、距骨脂肪体の疼痛も助長しているとと推察しています。
足関節底屈筋群
足関節底屈筋群が背屈の制限因子になることもよくありますが、運動器疾患では、特に長母指屈筋の評価が大事です。長母指屈筋は距骨後方にある長母指屈腱溝を通るため、伸張性や滑走性が低下すると距骨内側を前方に押し出す作用が生じます。そのため、背屈時に足関節前内方にインピンジメント (impingement:衝突) が生じ、疼痛や可動域制限の要因となります。また、骨折などの外傷後にはその他の底屈筋群も制限因子となります。そのため、その他の底屈筋群が背屈の制限因子と予測できる場合、それぞれの筋を区分けして評価し、どの筋が制限因子となっているかを確認します。
足関節背屈制限の評価
①非荷重位での左右の角度の比較
背屈角度と左右の差を数値化しときます。
②荷重位での評価としてスクワット動作
荷重位で最終域までスクワットを行い、背屈角度の左右差や疼痛の評価、また骨盤の後方回旋が伴っていないか確認します。
③荷重位での疼痛の評価
膝を外側に踏み込む場合と、内側に踏み込む場合とを比較し、どちらで疼痛が強くなるか評価。
足関節底屈筋群
背屈制限に底屈筋群が関係していると予測した場合
①長母趾屈筋の伸長:距骨後方を通るため、背屈時に足関節前内方にインピンジメント生じる。評価は、足関節背屈位で母趾を伸展させます。
②長趾屈筋:評価は、足関節背屈位で足趾を伸展させます。伸張性が低下すると、後脛骨筋との間に滑走性機能不全を呈していることが多い。
長趾屈筋と腓腹筋の滑走操作です。
今日はここまでです。ここのところいろいろと忙しくて、投稿ができていませんでした。少しずつ勉強をしたことをみんなで共有していきたいと思います。また、一緒に勉強に来てください。
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