今日も読みに来てくれてありがとうございます。前回に続いて関節運動学的に肘関節について話していくよ。むか~しむかし、肘周辺の骨折をされた患者様を担当した際、肘の屈曲や伸展(曲げ伸ばし)の可動域があまり拡大しなくて悔しい思いがしました。まだ、若い患者様だったのに・・・。その時の私に言いたい。勉強しろ。もっと考えろと。言い訳はいいので、早速勉強をしていきたいと思います。
このブログでは、私が勉強してきたことや考え方、この治療ってどうなのかなとみんなが疑問に持っている事など(また趣味の筋トレとかも・・・)をなるべくわかり易く伝えていきたいと考えています。ぜひ読んでいってください。
まずこのブログを見る前に、「関節を動かすときの基礎!!関節運動学!SJFやAKA!!」を見てね。基礎から学ぶと余計わかるよ。では続きをどうぞ(#^.^#)
肘関節
肘周辺に関わる関節は、①腕尺関節②腕橈関節③近位橈尺関節④遠位橈尺関節です。主たる肘関節(腕尺関節)は、蝶番関節です。片方の骨の表面が凸面(尺骨)であり、 これがもう一方の骨の凹面(上腕骨)のくぼみに適合する関節のことをいいます。ドアの蝶番のように一方向のみに動きます。これは、肘を最大に屈曲(曲げる)する動きとなります。
![解剖生理・運動学を学ぶ~肘・手関節編①~関節について~ | 伊佐次の ...](https://msp.c.yimg.jp/images/v2/FUTi93tXq405grZVGgDqG-Bd7WfZVnFnM15Po707LUsY7suobAlp-fyfIxP2frLeNuh3jYJKcyKbASoQVBYL6gZC3zCY__-NNXAFh-PfpZ8eMlcP6jsiZmHDJqALP7AI9dTtlkKr7yRFysoaVN7Fy_F6SRVIsJ_NbxYiLv_-eMngXe1n2VZxZzNeT6O9Oy1LGO7LqGwJafn8nyMT9n6y3jbod42CSnMimwEqEFQWC-oGQt8wmP__jTVwBYfj36WfHjJXD-o7ImZhwyagCz-wCPXU7ZZCq-8kRcrKGlTexcuDZNRaifXhNCs_BugWVA5o/o1015069313901274660.png?errorImage=false)
医学書院
腕尺関節(Ulnohumeral joint)
形態分類では蝶番関節に分類され、上腕骨滑車と尺骨の滑車切痕から構成されます。滑車の両端は外側唇・内側唇と呼ばれています。内側唇の隆起は外側唇に比べて大きくなっており、その間に滑車溝が存在します。この滑車溝上を尺骨関節面の縦骨陵が沿って動くがその形状から伸展位では肘角(運搬角)を成します。関節包は、縦走線維、内側上部から外側下部への斜走線維により補強されます。内側では、内側側副靱帯により補強される。内側腹側靱帯の前束は内側上顆から尺骨鉤状突起内側部にいたる。後束は内側上顆後部から肘頭の内縁に至り、斜束は肘頭から尺骨の鉤状突起に至る。
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直線A:肘最大屈曲における腕尺関節面の向き。尺骨は上腕骨に対して外側にある。点線B:肘屈曲約100度位における腕尺関節の向き。直線C:肘伸展位における腕尺関節面の向き。尺骨は上腕骨に対して大きく外側位となり、肘伸展位で肘角(carrying angle)をつくる。
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![運搬角(キャリーアングル)とは?「正常値」や「肘角との違い」も解説](https://msp.c.yimg.jp/images/v2/FUTi93tXq405grZVGgDqGzDkrK0nvLh6mWtVSJ7hOapz1pdds0E5mBOWeY0ltp4b9AUMvmjN_1rFFZFFZtZQLxNadeqefoFnlWFZBFkNsFNYvGH37Lp2qPOWYPYTWlB9K8VysW-hgO9Jrx2r1k_a9ndF0YL0tXZFM7E6dcgzACxjLsubWHXLWybog7fXk_11BI5RXD_pW4Nn5EP3s5ZeiNHFumPDLaB5O5ZcwE4nDqZ14-V6VbCsgtQbZLUIW2XnqgQpaNuen8O5GGoagQV5kVz3UwMxlIzd6KbGdnNaG_h-sdbuzxN4RY9bUJfTnpyt/seiritekigaihangaihantyuunaihanntyu.jpg?errorImage=false)
外反肘のほとんどは、子どものころの上腕骨外顆骨折によるものです。骨折の治療が不適切だったために、肘の外側の外顆部分の骨が癒合せず偽関節になり、外側の成長障害を起こしたことが原因です。偽関節になっても、変形のみで通常は痛みが残ることはなく、そのまま放置されることも少なくありません。しかし、成人になってから小指のしびれや麻痺が生じることがあります。これを遅発性尺骨神経麻痺といい、肘が強く外反し、かつ不安定なため、肘の内側を走る尺骨神経が徐々に障害されて起こります。
内反肘は、子どものころの上腕骨顆上骨折が原因で、骨折部位で内側に傾き、さらにねじれて癒合したために内反肘変形が生じたものです。15度以上の内反変形が生じると見かけ上の変形が目立ち、矯正手術を行ったほうがよい場合があります。まれに、内反肘を放置すると尺骨神経障害、肘関節の動揺関節などが生じることがあります。
ちなみに上腕骨内側上顆骨折にも解説します。この骨折は、まれな骨折です。転倒などで肘に対して直接的な外力がかかった場合や肘を過度に使用した場合などに起こることがあります。肘を過度に使用した場合とは、腕骨の内顆に対しては多くの筋肉(尺側手根屈筋、長掌筋、橈側手根屈筋、浅指屈筋、円回内筋)が付着しており、腕や手首の動作に関連して大きな力がかかりやすい構造になっています。そのため、野球や体操競技などで手首を曲げる動作を何度も繰り返すと、上腕骨内顆に大きな力がかかり、結果として上腕骨内顆骨折の発症に至ることがあります。
腕橈関節(Radiohumeral joint)
凸面を成す上腕骨小頭と、凹面を成す橈骨の橈骨頭窩で構成される球関節に分類されます。橈骨頭窩は、浅いくぼみなので関節の構造上安定性は低いです。肘の外側には、外側側副靱帯が存在します。これは上腕骨外側上顆から2つの枝に分かれており、1つは扇状に広がり輪状靱帯に至る撓側側副靱帯、もう1つは尺骨回外筋陵に至る外側尺骨側副靱帯があります。
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テニス肘(tennis elbow)
ちなみに外側上顆に付着する筋肉(指伸筋、肘筋、小指伸筋、回外筋、尺側手根伸筋、長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋)で、よくテニス肘(上腕骨外側上顆炎)を耳にすることがあります。肘の外側には手首を反らすときに使う筋肉の長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋、総指伸筋という3つの筋肉があります。
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これらの筋肉が引っ張られることによって起こる慢性的な障害がテニス肘です。テニスのバックハンドのときにこれらの筋肉を使うため、テニス選手に多く発症したことからテニス肘と呼ばれるようになりました。痛みは非常に限られた範囲で限局的に起こります。手首を反らしたり、雑巾をしぼったり、重いものを持ったり、指を伸ばしたりしたときに痛みが現れ、安静時には現れません。私は理学療法士なので、評価も載せておきます。主に下記3種類の誘発テストを行います。
手関節伸展テスト(Thomsenテスト)
肘を伸ばした状態で手首を反らしてもらいます。検者は被検者が反らした手首に抵抗を加えます。このときに肘の外側に痛みを感じるようであれば陽性です。
Chairテスト
肘を伸ばした状態のまま被検者に椅子を持ち上げてもらいます。このときに肘の外側に痛みを感じるようであれば陽性です。
中指伸展テスト
肘を伸ばしたままの状態で、検者が被検者の中指に抵抗を加えます。被検者には指全体を伸展してもらいますが、このときに肘の外側に痛みを感じるようであればテニス肘と診断されます。
野球肘(baseball elbow)
またまた脱線ですが、野球肘についても書きたいと思います。
肘の外側の小頭部の障害で離断性骨軟骨炎(上腕骨小頭障害)とも呼ばれます。初期に発見し、治療すれば、完全に治癒します。しかし、初期は痛みがあまりなく、痛みが出て軟骨がはがれるまでに1~2年以上かかることから、本人も周囲も気づかずに投げ続けることになります。肘の外側で骨同士がぶつかって、骨・軟骨が剥がれたり痛んだりします。
肘の内側上顆の障害は、上腕骨内側上顆障害(リトルリーグ肘)や上腕骨内側上顆裂離、内側側副靱帯損傷がある。内側側副靱帯がくり返し引っぱられ(牽引力)、骨・軟骨・靱帯が傷つきます。野球肘のなかでもっとも発生頻度が高く、10人に1~3人程度に起こります。
肘の後方が障害される野球肘は、肘の肘頭の障害で肘頭骨端線閉鎖不全や肘頭疲労骨折、肘頭骨棘骨折、後方インピンジメント(骨と骨の間に軟部組織が挟まって痛みを出します)などがあります。小学生にはあまり認められず、高校生以上で生じることが多いです。投球動作ではボールリリースからフォロースルーのときに肘の後側・内側に痛みが出ます。肘を伸ばすときにも痛みがあり、肘が伸ばしにくくなります。
そろそろ、戻しますね。高校野球やオリンピックを見すぎたかな(#^.^#)
近位橈尺関節(Superior radioulnar joint)
橈骨頭環状面と尺骨の橈骨切痕で構成され車軸関節に分類されます。橈骨環状面をぐるりと覆うように輪状靱帯が位置し、橈骨切痕の両端に付着する。また橈骨切痕の直下から橈骨頸内側面には方形靱帯が位置し、関節の安定に関与しています。この他にも前面には、尺骨粗面外側部から橈骨二頭筋結節遠位まで線維束が存在し斜索と呼ばれます。
![画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 80b43892b6c0b5c79ba0938a429281ee-1.jpg](https://sinji0012312.com/wp-content/uploads/2021/09/80b43892b6c0b5c79ba0938a429281ee-1.jpg)
触診(palpation)
肘伸展位(伸ばし)後面
上顆線(Hüter線:上腕骨内顆、上腕骨外顆、尺骨肘頭が肘伸展位で直線となる)を指標に①肘頭から④内側上顆を触知し⑧内側上顆陵を触診する。①肘頭の外側にできるくぼみが②腕橈関節でその部分を関節裂隙を触診します。この関節裂隙の直下に⑨橈骨頭を後面から触知します。② 腕橈関節 を指標に③外側上顆その上の外側上顆陵を触診します。
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肘屈曲位(曲げる)後面
屈曲位で①肘頭から上に滑らすと⑥肘頭窩があり、外側から⑨橈骨頭を確認して、前腕の回内・回外運動を行うことで動かない③外側上顆を識別します。橈骨後面より1横指遠位部で⑩上腕骨小頭に触れます。
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運動学(Kinematics)
腕尺関節
上腕骨滑車が凸面、尺骨滑車切痕が凹面形状となっています。前にも話しましたね。屈曲伸展の際、尺骨が凹の法則に従い上下に滑ります。上腕骨滑車内側唇と外側唇の大きさの違いから肘が屈曲していくに従い上腕骨と尺骨は徐々に正面を向きあいます。しかし、最終屈曲位で尺骨はやや外方へ向かいます。
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腕橈関節
肘の屈曲伸展に伴い、橈骨頭窩が凹の法則によって上下に滑ります。また前腕の回内外では軸回転が起こります。
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近位橈尺関節
前腕の回内では橈骨頭環状面の背側滑りが、回外では腹側滑りが起こります。
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治療の際、上記のことを理解し患者様の関節面の評価や治療を行っていきましょう。私がよく使うのは全部ですが、肘の屈伸最終域時に肘頭を接近(close:関節面を近づける)させることで可動域の拡大を測ったり、もちろん制限の原因を探る時にゆるみの位置で靱帯のtilting(傾斜法)gliding(滑り法)を用いています。この知識がもっと前からあればと後悔もしています。今からでも遅くない勉強しましょう。
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では、今日はここまでです。また次も見てください。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
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