こんにちは!!今回は、膝の関節運動学について勉強していきますね。臨床上、膝周囲の骨折などで手術を行い、膝関節の動きに制限がある患者様を皆さんもよく担当するのではないでしょうか。関節運動学を知ると治療の幅が広がりますよ。では早速勉強していきましょう。
このブログでは、私が勉強してきたことや考え方、この治療ってどうなのかなとみんなが疑問に持っている事など(また趣味の筋トレとかも・・・)をなるべくわかり易く伝えていきたいと考えています。ぜひ読んでいってください。
まずこのブログを見る前に、「関節を動かすときの基礎!!関節運動学!SJFやAKA!!」を見てね。では続きをどうぞ(#^.^#)
膝部の関節構造
大腿骨と脛骨・膝蓋骨が主に膝の動きに関与していますが、腓骨も含めて話をしていきます。腓骨は、機能的には靱帯を介して膝の構造に関与しているので、腓骨も加えて脛骨大腿関節、膝蓋大腿関節、近位脛腓関節について話していきます。
まずは、生理的外反について!大腿骨と脛骨の軸は一致せず、下腿に対して170~175°外に開いています。FTA(Femoro-tibial angle:大腿骨-脛骨 角度)っていいます。175°以下だと0脚、180°以上だとX脚となります。
脛骨大腿関節(Tibiofemoral joint)
脛骨大腿関節は、下記のように凸面と凹面があり、関節は蝶番関節で屈曲ー伸展運動だけでなく、外内旋も起こります。膝伸展位では内外旋の動きは、関節面の適合と靱帯の締まりの位置により内外旋の動きの制限があります。
大腿骨の関節面は、背側に突出した楕円形です。脛骨は、扁平に近く2つの関節面は伸展時に広く、屈曲するにつれ関節面の範囲は減少し、適合性は低くなります。このことから、骨性の安定性に乏しいため、靱帯による補強や関節半月によって適合性が補われています。
関節半月は弾性を有する線維軟骨からなり、内側と外側に存在します。内側半月は大きく半月形(C型)になっている。可動性は低い。外側半月は小さくほとんど円形(O形)となっている。可動性が大きい。内側半月・外側半月共に中心部は薄く周辺部に行くにつれて厚くなり関節包と結合する。腹側(前面)・背側(後面)ともに筋群の腱によって補強され、前面は特に大腿四頭筋腱が関節包の一部となっています。その中の膝蓋骨は大腿骨に触れて関節を形成してます。
脛骨大腿関節は、筋の力学的な支持が弱く、靱帯による補強がされている。特に前後の十字靱帯、外内側の側副靱帯は、骨の動きを誘導および制限するうえでも重要な役割を持っています。
靱帯(ligament)
前十字靭帯:脛骨の前顆間区の内側から起こり、背頭外側に向かい大腿骨外側顆の内側背面につく。
後十字靭帯:脛骨の後顆間区の外側部から起こり、外側半月から線維を受けながら腹頭内側に向かい、前十字靭帯の背側を通って大腿骨内側顆の内側腹部につく。
ともに大腿骨から脛骨へ内回りに捻れながら脛骨に付着している。下腿外旋位でゆるみ、下腿内旋位では捻れが増強する。さらに内旋を続けると前後十字靱帯が互いに巻き付き脛骨は、大腿骨に引き寄せられ近づくことになります。
外側側副靱帯:大腿骨の外側上顆から起こり、外側半月の外側縁、腓骨頭の尖端および外側面につく。
内側側副靱帯:大腿骨の内側上顆から起こり、脛骨の内側顆と内側半月内側縁につく。
膝関節の動きと角度を下に記します。
膝関節屈曲角度による骨の運動の動きです。角度計と実測値ではだいぶ違いますね。ゴニオメーター(Goniometer)で測っていたのは嘘なのか? 嘘ではないので、評価として関節可動域測定をしっかり行いましょう。でも、基本軸である大腿骨長軸と移動軸である下腿骨長軸との交差点では角度計で測るものと違うことを覚えておきましょう。
膝蓋大腿関節(Patellofemoral joint)
膝蓋骨は、人体の中で最大の種子骨(sesamoid bone:筋肉や腱の中に形成される骨)です。膝蓋骨の外内側関節面と、大腿骨外内顆膝蓋面により構成される鞍関節で関節包を脛骨大腿関節と共有しています。矢状面では、膝蓋骨(垂直陵)が凸面、大腿骨(外内顆膝蓋面の中央)が凹面であり、前額面では大腿骨(外内顆膝蓋面)が凸面、膝蓋骨(外内側関節面)が凹面になっています。
脛腓関節(Tibiofibular joint)
脛骨と腓骨は近位端では関節として、遠位端では靱帯結合により連結されています。近位脛腓関節は、脛骨の腓骨関節面と腓骨の腓骨頭関節面との間にできる半関節です。腓骨頭関節面が凹面、脛骨の腓骨関節面が凸面であります。前腓骨頭靱帯と後腓骨頭靱帯によりそれぞれ関節包を腹背側両面から補強されています。
触診(Palpation)
腹側からの触診手順(図10)
①膝蓋骨→②膝蓋靱帯→③脛骨粗面→④⑤外側・内側関節裂隙
膝蓋靱帯の両側で、膝蓋骨の最下端より少し遠位の高さで陥凹を触診できます。
関節裂隙は、脛骨大腿関節を90度屈曲位(曲げる)で下腿を内外旋することで確認できます。
腹内側からの触診手順(図11、12)
1⑤内側関節裂隙→⑥内側半月→⑦内側側副靱帯
2内側関節裂隙→⑧大腿骨内側顆→⑨大腿骨内側上顆→⑩内転筋結節
内側関節裂隙を腹側から指で圧迫し、深部で内側半月を触れます。膝屈曲位で脛骨を内旋したとき、内側半月は最も突出し、外旋位で触れなくなる。
腹外側からの触診手順
1④外側関節裂隙→⑪外側半月
2②脛骨粗面→⑫腓骨頭→⑬外側側副靱帯
3④外側関節裂隙→⑭大腿骨外側顆→⑮大腿骨外側上顆
膝を軽度屈曲し外側関節裂隙を腹側より指で圧迫すると外側半月を触知できる。外側半月は外側側副靱帯と部分的にしか結合しないため、外側半月より可動性がある。外側半月は、膝伸展位で関節内深くに位置するため触知は難しいです。
運動学
脛骨大腿関節
骨運動:屈曲・伸展・内旋・外旋
凸面 :大腿骨関節面
凹面 :脛骨関節面
前・後十字靱帯と側副靱帯は骨の誘導と制動に関与しています。
大腿骨と脛骨の関節面の接触が広く、外・内側側副靱帯が緊張するため、しまりの位置(close packed position.CPP)は最大伸展位です。
最大ゆるみの位置(least packed position.LPP)
屈曲伸展:半屈曲位(30度)
下腿の外内旋:90度屈曲位
骨運動と関節内運動
Ⅰ屈曲0→15°・・・・・脛骨は内旋に伴って外側上関節面を中心に内側上関節面が
背方へ滑りと転がりが起きる。
Ⅱ屈曲15°→90°・・・・脛骨の外および内上関節面は揃って背側に滑る。
Ⅲ屈曲90°→120°・・・脛骨の外側上関節面の動きが止まり、内側上関節面のみが
背側に滑る。下腿の内旋。そのため、踵部(かかと)は
外側に向かう。
Ⅳ屈曲120°→150°・・・内側上関節面はさらに背外側方へ外側上関節面を中心に
円を描くよう滑る。
Ⅴ屈曲150°→とんび座りまで持っていけます。
近位脛腓関節(Proximal tibiofibular joint)
単独での運動はない。脛骨大腿関節や距腿関節に連動して僅かに動く。半関節。
凸面 :脛骨の腓骨関節面
凹面 :腓骨頭関節面
ゆるみの肢位(LPP)膝関節屈曲・足関節軽度背屈
しまりの肢位(CPP)膝伸展位、足関節底屈位
運動制限する靱帯:前・後腓骨頭靱帯、外側側副靱帯
今日は検査技術と治療も少し話します。
前十字靭帯の断裂・短縮の検査
前十字靭帯の緊張肢位は膝関節軽度屈曲+下腿の内旋位。緊張した肢位で腹側方向へ引き出し現象がみられると、前十字靭帯の断裂を疑います。
ちなみに後十字靭帯の緊張肢位も同じなので、尾側に滑らせて中間位より大きく動くと靱帯の断裂を疑ってください。
前十字靭帯のゆるみの肢位は 膝関節軽度屈曲+下腿の外旋位。ゆるみ肢位で腹側方向へ引き出し正常と比較して動かなければ、前十字靭帯の短縮を疑います。
ちなみに性状は下腿内外旋中間位で引き出します。
ちなみに後十字靭帯のゆるみの肢位も同じなので、尾側に滑らせて中間位より小さく動くと靱帯の短縮を疑ってください。
脛骨大腿関節屈曲軸回旋法(direct spinning)
脛骨大腿関節は屈曲90度。術者は下腿を内旋させるように動かし脛骨内側関節面を凹の法則に基づき背外側に滑らせる。
脛骨大腿関節の屈曲接近軸回旋法90度以上(Close direct spinning) という内旋を大きくしさらに屈曲方向にもっていく手技もあります。研修会に出て学んでいきましょう。この手技はよく臨床で使用しています。
今日の話はここまでです。手技になっていくと実際に研修を受講しないと分かりづらいです。
このコロナ渦ではリモートになっているので、なかなか難しいですね。
SJFの役員でもなんでもないですが、関節ファシリテーション(SJF)学会 (joint-facilitation.com)をクリックすると研修会が動画等で見れるかも?私も10年前に研修を受けて今でも治療場面で使用しています。過去の研修会に感謝です。ではまたブログを見に来てください。最後まで読んでくれてありがとうございます。
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